絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

ザルの話

2009-10-28 | 新ピカソ
元校長先生が話してくださいました。

むかしむかし、ある貧乏なお寺さんでの出来事です。

ある日のこと、外は激しい雨になりました。
貧乏なお寺さんのため、ところどころに穴があって、雨漏りがしてきました。
和尚さんは、小僧さんたちを呼んで「誰か雨を受けるものを持ってきてください」と言いました。

小僧さんたちは、言われて動き出しましたが、ほとんどがろくに探しもしないで戻ってきました。そして、ありませでした。と言いました。なぜなら、この貧乏な寺に雨を受けるような容器があるわけがないと知っているからです。

そのとき、ある小僧さんが、どこを探したのか、クモの巣を顔にひっかけながら、入れ物を持ってきました。そして、ありましたといいました。
見ると、それは、ザルでした。

みんなは、唖然としました。そして、「馬鹿だな、ザルじゃ役に立たないじゃないか」と笑いました。

すると、和尚さんは、「みんな、もう修業は無理だから、家に帰りなさい。そのザルを持ってきた小僧さんだけが残って、他の人はみんな帰りなさい」と言いました。

初めから、あるわけないと思って探さない者、探してもろくに探さないで諦める者、そんな人たちに修業をする資格はないというのです。

ないかもしれないけれど、とにかく一生懸命探して、なんとか役に立たないかと探してくるその姿勢が大切だと和尚さんは言っているのです。

ーーーーーー
これは、作り話かもしれません。例え話かもしれません。
しかし、現実には、たくさんこれが当てはまることがあります。

美術室で、生徒に何かを探してくれと頼んだ時に、よく探せばあるのに、ろくに探さないで「ありません」と答える生徒がいます。「よく探したのか」と言って、もう一度探させると、ありましたというケースが結構あるのです。

もちろん、私はあることを知っていて、持ってくるように頼んだのですから。

美術室の備品は、どこに何があるかを、部活のリーダーにはよく把握しておくように、日頃からいろいろと教え込んでいます。特に部長には、それをよく伝えています。生徒に話をするときに、資料を見せた方がいい時など、その資料がどこにあるかが分かっている生徒がいると、とても助かります。
しかし、常に部長がいるとはかぎりません。だから、他の部員に持ってきてもらう
場合もあるのです。
いろいろなケースが、ありますが、このザルの話がぴったり当てはまることが度々ありました。

要するに、ハートのレベルです。
和尚さんの探してくださいという言葉に対して、どのような気持ちで動くかということです。それによって、その人の評価に差がつくのです。

私は、生徒に掃除をするように頼みます。すると、生徒は私が望んだ以上に綺麗にします。だから、そんなに徹底的に綺麗にしなくてもいいよということが何度もありました。それは、生徒のハートのレベルの問題なのです。

私は、このザルの話は、良い話だなと思って、何年かに一度は美術部の生徒たちに話してきました。


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