朝の涼しさが、本格的になってきました。
二十四節気、白露を過ぎて、今朝は露ではなく、透明の雨粒がポツポツと乾いた地面を濡らしてました。
散歩できないほどの雨でもないので、そのまま散歩をしていると、
いつものお寺の掲示板が変わってました。
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なかなか掴んだものを手放さない人間のサガ。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を思い出す言葉でした。
考えると、沈まない程度に掴み続けるというバランス、これって難しいですね。
いっそ全部手放せば、一気に楽に浮上できるのに、それが出来ないのが世の常。
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うつになって、欲望、煩悩などが飛び去っていった時期、すべてを手放したような気がしたのに、
今になって思うと、それはそれで結構しんどい時期でした。
欲が失せてしまうと、人間は生きていくのも大変なんだなと思い知らされます。
程々の欲望、煩悩があることが、人間として一番バランスがとれるような気がします。
ただ、その『程々』・・・このバランスを取るのが、一番の難関なのかもしれません。
『さとり』という境地、これはそういうバランスのことを言うのかな、とフッと思います。