いまでこそ
わからないこと、調べたいことは
検索をかければ何かしら出てくる
でも
あの頃はグーグルなんて
きっとあったのかもしれないけれど
私のところまでは普及してはいなかった
とっさに、ガイドブックの隙間に書き込んだ文字を
何度も眺めてもなんじゃこりゃ?で
不思議ーな後味だけを噛み締めながらも
バスにまにあわなければならないので
身支度をして
バス停まで見送りまでしてくださった宿のかたたちにも
こういうものがこのへんにありますか?
と、書き取った文字を見せた。
ほつまつたえ?ほつまつたいぇ?
さあああ・・
何か、このあたりにある場所では?
いやあ、そんなんはねえ・・・
お礼を述べながらも
私は心の中で、
きっとこの土地に関係するから聞いたんだ
こんなふうに来たのだから
これから行く先で見つかるんじゃないかと思っていた。
バスは、川沿いの道に姿を現し
いよいよ熊野本宮大社に行く期待でいっぱいになりながら
律儀にまだバス停から手を振ってくださる皆さんに
お辞儀をしたり手を振ったりしている私を乗せて走り出した。
熊野本宮大社前で降り
鳥居の前に立って
一瞬ひるむくらいに続いている昇りの石段を見上げた途端
あれはなんだったのか
不覚にも、胸がいっぱいになって泣いている私がいた。
やめてよー、いくら思い切って一人旅で
知らないところに来たからって、
そんなことで泣いたりする?と思いながら
それで泣いているというよりは
どうしても、もっと違う感情
「ようやく帰ってきた」みたいな「念願を果たした」みたいな
来る途中のポスターに、オレンジとかの格好をした男性たちが写っていたけれど
・・・いったい、昔、私はそんな山伏かなんかで修行でもしていたというの?
確かに、あんまり、女らしいタイプではないけれど。。。
恥ずかしいので、すれ違う人に顔を見られないよう
石段を登ると、大げさにも
「人生蘇る熊野詣」と、大きな布に書かれて垂れ下がっていた。
そして、ここでも、涙。。。
まあ、確かに少々、いろんなことが
他の主婦よりはあったこれまで
つらかった日々がなかったわけじゃないし
こどもの病気やらなんやら越える中で
人生の道が大きく変わったりもあったことがきゅうに思い出されてきた。
今度は、そんな万感も加わって、
ああ、やっぱり、来て良かったと泣いたのだ。
で、ほつまとやらは
この中にそういう塚でもあるのだろうか。
期待に胸が膨れた。