運命と出会う瞬間

映画・小説・音楽・・なんでもありの気ままな感想

男の涙とオトコの涙

2012年02月14日 12時48分24秒 | Weblog
「人前では涙を見せるものではありません」
 
 と、かつて日本の躾がそうであった名残からか
大人の男性が、泣く姿をみると
思わず、よくよくかと思って見て感動してしまう傾向が
私達にはある。

けれど、もう、日本の躾は変わって久しいから気づかないといけなかった。
私も、やっと認識できるようになった。
人前で泣ける殿方の涙には
男の涙とオトコノコのまま大人になったオトコの涙との二種類があるということを。


実は、簡単に、すぐに泣けてしまう男性はもちろんいるし
感激やさん、なら、私も大好きだけれど
ずるいことをしても
思わず泣くと、切り抜けられたり、逆に励まされたりするうちに
中には、それを術として身に着けてしまった人もいる。
子供のころから
覚えてしまったままの、泣き上手なのかどうかは
その時点では120%酔いきれるとこが特技なわけだから

まさか、毎日横にでもいない限り、
その見極めはむずかしい。
それだって、実は
三回だって四回だって、しょっちゅうだって、
どんなにあとでケロリとするものだってわかっていたって
ハラハラと涙をこぼされれば
思わず、いいのよ、いいのよ、もう泣かないでよ、だいじょうぶ?って
思わずハグしてしまったり
反射的になってしまうのは
母性なのか
それとも
泣いている女の子を前にしてしまうときの親父ぶりと同じなのか・・・。
われながらわからなくなる。



泣きたくても泣かないで
笑顔でがんばっている。。。っていう男前は
いまや女性のものになりつつある世の中だって
気づく此の頃。。。

世のお母さん
泣いちゃいけないなんて、そんな躾はすることないけれど
あくまでやさしく、受け止めながらも
良心が麻痺したりだけはしないように
大切な基準はちゃんと自分でもてるように
泣いても泣いても、見るべきことを見てないならば
ときには、突き放すこともしてでも
オトコから男へとの成長をした男性を社会に送りだなさいとね。






明日の記憶

2012年02月10日 23時47分43秒 | Weblog
たまった書類の整理BOXをようやく買うことができた。
ので、早速、今夜は夜っぴいて整理をしようと
その間流せるように
字幕を追う必要のない邦画をと、初めて近所のレンタルビデオ店に。
映画館にも久しく足を運べなかったこの頃
足を踏み入れたら、どれも観たいものばかりで迷う。。。
やっぱり、洋画や、コンサートのも、なんてきりが無い。

時間は限られているのだから、厳選!!
気合を入れて、邦画の棚を見ていたら
『明日の記憶』が面陳されていて目に留まった。
懐かしいなあ。
かつての、パートナーと映画館に観にいったときの会話が甦る。

主人公の渡辺謙の物忘れぶりに、あまりに思い至るところがあるので
二人で
「わあ、あなた、こうなるんじゃ。。。真面目に心配。。。(笑)」
「よろしく頼むよ。」
「やめてよー」
と、笑い転げた。

しかし、ラスト・シーンで
ついに、夫の渡辺謙が、自分を見てもわからなくなって
他人を観る目で話しかけてきた瞬間
樋口可南子が、ボロボロと目から溢れさせた涙に
たまらず、私もボロボロと泣いた。
ああ、愛するものとして、病気より、怪我より、
この、他人を見るまなざしは、何より、切ない、つらい瞬間だ。

帰り道に、交わし続けた「気をつけてね、お願いね」のジョークは
もう、ジョークではなく、多少、本気の懇願を帯びていた。

懐かしく思い返しながら
あのような、病としてのアルツハイマーにこそならなかったが
形としては違っても
同じように遠いところに行ってしまい
同じような目を向けてしまったその人が
どうか、元気で、幸せでいますようと祈った。

「阿弥陀堂だより」「転々」。。
棚には、その人と二人で行った作品が、他にもいろいろあったが
きっとそんな、明日の記憶ならぬ昨日の記憶はもう
どこにも存在していないだろう。

レジの前に行ったら、サラリーマン風の男性が
一人でUFOキャッチャーにコインを入れていた。
夜のレンタルビデオ屋には
さびしさの学びを体験した人が多いのかもしれない。
そんな事を想いながら店をあとにした。

いつか、この人生のゲームが終わって
ゴールをしたなら、
あちらで、みんなで
すべてをDVDにして観ながら
「ホラホラ、あそこで、あんなことしてー」、とか
「ああ、そっち行ったら駄目なのに、ああああ」とか
「おお、ここはすごかったなあ」、とか
わいわい、笑ったり、茶化したりしながら
仲良く上映会でもするならば
それはきっとすごく楽しいことだろうなあ