運命と出会う瞬間

映画・小説・音楽・・なんでもありの気ままな感想

マウナ・富士がみているからね

2011年10月11日 12時08分41秒 | Weblog
富士の麓のエコ寺で
福島の、それも、今回の事故の中心に近い町で
保育園の園長さんをされているという
細くて可愛い、笑顔の素敵な女性と同時到着した。

ずっと、ずっと、奮闘してきて
どんどん園児さんたちが減っていく中で
とにかく、安全な食材を確保して
子供達に食べさせる、そのことばかりに毎日追われて
この先どうするのか
考える時間も持てなかったこと

ようやく、それもたった一日だけだけれど
考える時間をもつために
思いきって福島から富士山にやってきたと
笑顔と涙が背中合わせになったような
おもいっきり力の入った全身でお話しをしてくれた。

でも、本当は、言葉を飲み込んだけれど
彼女が
「もうずっと、待ってきたのに
 県も東電もなんにも言ってくれないからわからない
 居たほうがいいのか、いないほうがいいのか
 どうしたらいいのか、本当のことをいっさい言ってくれないから動くにも動けない」

そう、まっすぐな心のままに訴えたとき
言いたかった。

「そういうときの、言わないってことは、言えないってことなんだよ。
 言わないんじゃなくて、言えないものがむこうにあるんだよ。
 いくら待ってたってだめなんだよ。」

そうだ、いまは、私にもわかるようになった。
人がどういうときに黙るか、どういうふうになるか。
彼女みたいにまっすぐに、なんでも人は本当のことを話し合えると
そう信じていた私だから、よけいに見える、わかってしまう
自分を見ているみたいでつらかった。

信じたい気持ち、希望を持ちたい気持ちを捨てられないのも
いいふうに思いたいのもわかるけれど
もう信じるものはそこではないんだよ
宇宙と天と自分を信じて。
 日々の、想像を絶するあなたの誠意、努力
それはきっと、宇宙に、あなたに蓄えられて
かならず、ちがうところでもっともっと役に立つから
もう、本当は、絶対安全なはずのない
その場所からは、そのこどもたちを連れて離れてほしい
新しい生きる道を探すことにそのあなたの力を使って欲しい。
キラキラのその瞳が本当に喜んで輝く日々を得て欲しい。

どうしても通じないってあるんだよ。
もうそこでは、
本当のことなんて、いくら待ってもすでに損なわれているんだよ

 
でも、
なんにも、その現場のことをできてはいない私に
なんにもわかってはいない私に
それを言うことはゆるされなかった。
富士山がみていてくれる。
彼女に、ちゃんと生きる道を示してくれる。
この日の朝日と富士山は、この世は生きているだけで極楽だと
教えてくれるように見事だったもの。
まもってくれているよ、生命を大事にしているあなたを
生命たちが応援してくれているよー。


二枚のコイン

2011年10月03日 22時58分55秒 | Weblog
今日は、このうえなく澄んだ空気と空と雲と
さわやかな美しい陽射しの日でした。
ベルギーの空もきっと、と思い過ごしました。

券売機の前で小銭入れを探しているときに
視線を感じて顔を上げたら

右の横手に立っている
グレーのジャンパーを着たやせた男性が
私の顔をジーッと見ていました。
あからさまに顔を背けるのははばかられて
何食わぬ顔で切符を買いました。

すると、突然、『すいません』と声がして
その人がそばに来ていました。
『池袋までの切符を買いたいんですがお金がないので
 200円くれませんか』
声がした瞬間、さっと予感したので
間髪いれずに、小銭入れから200円を出してお渡ししました。
「はい、どうぞ。」
思い切って声をかけたその方が気まずい思いをしないうちに、
そう思って、ささっと、自然にさりげなく、何でもないようにと
意識したつもりでしたが
歩き出してからも
電車に乗ってからも
どうもシュクシュクと、何かを忘れたような間違ったようなで
すっきりしないのでした。

200円だけお渡ししたことも気がきかなかったけれど
細かいのがないので,とお札を渡すべきだったけれど

それもそうだけれど、このシュクシュクはそれではないわ

もともとお渡しするべきではなかったのか

いえ、もちろん、それでもない。。。

そして、やっと、気づけたことが。

私は、自然に振舞うことを気遣うことにばかり頭がいき
あの二枚のコインに思いを込めないままお渡ししてしまった。
ただのお金として渡してしまった。

あのコインに祈りを込めて、あの方のこれからが
まもられていますようにと願いを込めて
もっとしっかりとお渡しすればよかったのにと。
できなかったのは、
咄嗟に、想いが至らなかったのは、
想いがそこまで無かった証拠でした。
ごめんなさい。心が浅かったのでした。

今思い出すと、髪も髯も伸びて、顔も洗えていないで
きっと心も不安でいっぱいだった方かもしれない
そうだ、もしかしたら東北から来た方だったかもしれない

せっかく、神さまがめぐりあわせてくれた機会だったのに。
このていどが、まだ、今の私なのだと教えられた一瞬でした。