2年前の話ですが、ちょっと思い出したので書きます。
その夜は、とても雨が強く降っていました。22:00過ぎあたりで、そろそろ床に着こうかなと思い寝室に入ったところ、ドォーンと音がして家自体が揺れたのです。「地震かな?」と初めは思いましたが、嫁がダダダーっと玄関に行きドアを開け外に出て行ったかと思ったら、「車がぶつかったような形跡があるよ。」と叫んでいるので、私が見に行くと家の北西の角あたりの壁が破損し、良く見るとその壁の下に車の破片が落ちていました。
間違いなく当て逃げです。早急に警察に連絡したところ、近くに覆面パトカーが警備していたらしく、10分も経たないくらいに警察官2人が来てくれました。直ぐに現場検証及び証拠品の部品の欠片を回収し、その時の状況説明を要求されたので詳しく説明しました。
警察官曰く、「もし、ナンバーの4桁が判明していても、車両を特定するのは難しいです。こちらとしては最大限努力しますが・・・。」との事。要するに「加害車両を見つけるのは無理だ。」と言っているんだなと解釈しました。その後、普通の警らパトカーも到着したのですが、同じことを言って帰られました。
23:00近くになっていたでしょうか、私は自宅の神棚に手を合わせ、「どうか、犯人が分かりますように。」と祈りました。こうなったら神頼みしかありません。
それから、なかなか寝付けずいたら、夜中の12時を回ったくらいに家のチャイムが鳴ったのです。インターホンで「どなたですか?」と言ったら、「先程はすいませんでした。車をぶつけてしまった者です。」と。
直ぐ玄関を開け出てみると、申し訳なさそうに立っている男性がいました。事情を聞いてみたら、彼は免許を取得したばかりの18歳の男性でした。彼女を乗せ、話に夢中になっていて私の家のところで車を反転させようとして、不注意にも壁にぶつけたらしいのです。
彼は彼女を送り自宅に帰ったのですが、当て逃げをしてしまった事の良心の呵責に襲われ、悩んだあげく私の所へ自首して来たのです。私はそんな彼を見て、嘘をついているような人間には見えなかったので、とりあえず玄関の中へ入ってもらい話し合いました。
私は「事情はどうであれ、逃げちゃったから警察に被害届けをだしたよ。」と彼に言いました。彼は涙目になり、「どうしよう・・・。」と言うので、私は「今回の事を忘れちゃだめだよ。今回の経験は色んなことに役立つから、何事にも逃げちゃだめなんだ!」と言い、今回に限り被害届けは取り下げる旨を伝えました。
ただし、私からも警察に事情を話し今回の件に関しては、穏便に済ませて頂けるようにお願いしたのですが、警察からは出頭要請があることを伝え、ちゃんと行くように説明しました。その後、警察からも連絡があり加害者が出頭して来たので、説教して帰したという報告がありました。
自宅の壁の修理代も、彼はきちんと払いますと言うので、私も業者さんに修理内容を最小限に抑えてもらい、彼に請求しきちんと払ってもらいました。
こんな真面目な人間が、いざ事件を起こしたら、どこにでもいる犯罪者と変わらないことをしてしまうんだなぁと実感しました。でも、今回自首してくれた事は彼の今後の人生において、本当に良かったと思いました。