新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

照会・お便りetcはこちらへどうぞ
opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

アース製薬が30%DEET開発し厚労省も協力⇒我々が心すべきこと

2016-06-21 21:22:00 | デング熱

アース製薬が中濃度 DEET 30%の昆虫忌避剤の開発をプレスリリースしました。「厚生労働省より、2016年6月15日付で、従来日本で販売されている人体用害虫忌避剤よりも高濃度の有効成分を含む製品(ディート濃度として30%)について、医薬品製造販売承認の迅速審査を行うとの通知がありました(原文ママ)」。

つまり、アース製薬はもとより、厚生労働省もやる気になりましたと広報されているわけです。
管理人自身、いくつかの番組で、「日本のDEETは12%maxで2時間しかもたない。まずい」とか「自分用はミャンマー行ったとき買い込んでくる」とか「2020年五輪を控えて何とかせにゃ厚労省」とか、いろいろ公共の電波に載せてきましたが、(たとえば https://www.youtube.com/watch?v=cA_67nSzDT0 )、すでにわかっていただいていた様です。

アース製薬のプレスリリース
http://www.earth-chem.co.jp/top01/news/pdf/2016/0617_01.pdf

さて、そうなると、次は我々自身が世間一般にきちんと情報を伝えてゆく責任ですが、ここは身を引き締めてかからねばなりません。

その理由1:管理人は国際交流基金の日本語パートナーズ派遣前研修の講義を担当しています。派遣先はすべて東南アジアのデングほか発生国。当然蚊対策も主要テーマのひとつになります。日本製の薄型DEETも1本は持って機内持ち込みにする必要(空港降りたときから蚊はいる)ですが、現地で中高濃度DEETを買った方が確実に長持ちして良いです」と強調しつつ、管理人が(研究で必ず年2回行くので)ヤンゴンで自分用に買い込んでくるオーストラリア製Bushman80%やタイ製sketolene20%をお見せして自分はこれを使ってると言っています。ところがところが・・・講演後のアンケート自由記入欄に「国が認可してない濃度の使って大丈夫ですか?」「そんなに濃いのは不安だ」等と記入してあるのが必ず毎回1~3人程度出てきます。
 また、某TV局の記者さんは、(管理人の愛用する)オーストラリア製Bushman80%を見て開口一番「こんなの大丈夫ですか」と口を突いて出た人もいます(丁寧に説明して差し上げると、その後、金鳥かアースかの工場まで行って正しい知識を確認されましたが)。つまり、反射的に「大丈夫か?」と思ってしまう人が日本人には一定数いるということを、管理人は肌で感じているので懸念するのです。

その理由2:米国で起こることは日本に入ってくるの法則にしたがえば・・・
 いま米国ではかなりひっちゃかめっちゃかなことが起こっています。ジカを追っ払う腕輪やパッチ。その多くが「当製品はDEETを使っていません。毒性ありません。天然オイルです」と謳い、まあ当然のことながら効果がありません。たとえばこんなバカっぽいものです(下記ソースには他にも写真あり)

こうしたトレンドが陰謀論とドッキングすると、例のインフルワクチン自閉症説みたいなのが2ch発祥で出てくるのかも。

こうしたさまざまな要素と闘いながら、世間一般が正しく30%DEETを選択していただけるようメディアとも協力して発信してゆくか、次は我々がしっかりしてゆくべきでしょう。

こちらのソースはSTAT
https://www.statnews.com/2016/06/19/zika-fears-drive-sales/

Zika fears spura booming the market for questionable products
 


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 6月20日(月)のつぶやき | トップ | 6月21日(火)のつぶやき »
最新の画像もっと見る

デング熱」カテゴリの最新記事