昨日は兵庫県保険医協会の講演会@神戸へ。
神戸中央市民病院の林三千雄先生.から、バリバリの現場発の話をうかがいました。
ちょっと遅刻して行ったのですが、質疑応答では極めてクリアに答えられていました。”ものを伝える”ことが上手い人だなあち。
以下、いくつか印象に残ったやりとり。
Q.基礎疾患をもたない人が亡くなるか亡くならないか分かれ目は?
A. タミフルを服用するまでの期間が(運命を)左右していた印象。誰もがすぐ医療にかかれるアクセスの良さ、タミフルが処方される日本の医療の良さが効いていた。実際、途上国の一部とは100倍ぐらいの(死亡率の)差があると思う。
Q.検疫、発熱外来などで流行を緩慢にするというのは意味なかったのでは?
A.検疫、発熱外来はそうだが、学校閉鎖は明らかに効果があった。
その他、記憶に残る発言
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新型インフルエンザによるウイルス性肺炎は急激に悪化する。だから、発症して間もなく、ピンピンしていてもX線で肺炎像があれば、必ずタミフルを処方、基礎疾患があれば必ず入院させる。基礎疾患がなくても(X線で肺炎像があれば)極力入院させる。それに対して、インフルエンザに続発する細菌性肺炎はカゼをこじらす様な感覚でもやーっと続発してくる。
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当初、WHOがタミフルを(軽症例を含む)全例に投与する必要まではないと言って(あたかも軽症例にタミフル勧めないような)誤解されている面があるが、そうではなく、軽症例へのタミフル処方に反対しているわけではない。WHOは、たとえばタミフル備蓄が国民の1割分しかないタイのような国まで想定してステートメント出さねばならない。
現場発、ストンと腑に落ちる、納得できる話でした。
もうひとつ、ピンと来たのが、「このような事態には公衆衛生的手段が主役と思われていたが、実際はそうではなくて臨床現場の力が事態打開に有用だった(表現は違うかもしれませんが)」という趣旨の発言に、心の中で拍手を送っていました。
やっぱりそうだよなと。公衆衛生の偉い人が医系技官がどうのこうのと言ってる議論はたくさん聞いたけれど、やっぱり現場だよなと。
この実感は、海外報道追いかけていてもやはり同じ。たとえば、カナダという、公衆衛生先進国を一応自認する国の当局が、いかに右往左往して、オタついて、国民から非難されて、朝令暮改をやって、他国に頭下げてワクチン分けてもらう醜態をさらして、お粗末だったかということは、当サイトでも縷々紹介してきたところです(まあ、それが出来た前提として、カナダの優秀なマスコミがそれをこまめに発信してくれたという事があるわけですが)。
しかしながら、カナダ人がバタバタ不当に亡くなったなんて話は寡聞にして聞きません。それは、この国の現場医師たちが頑張って黙々と(まあ、堪忍袋の緒が切れてカナダ当局を非難したという報道はありましたが)診療にあたったたまものなのでしょう。
結局は、現場力なんだと。そんなことを感じながら帰路につきました。
とても納得しました。
治療に対する姿勢も参考になります。
本当に貴重な情報ありがとうございました。