いまネット世論のディスカッションでかまびすしいのは、「日本の在来アリはヒアリの侵入を防いでくれる(かもしれない)強力な味方である。やたらと殺しちゃいかんというのがあります。”やたらと殺しちゃいかん”の部分は正論として、では、ヒアリに攻め込まれる在来アリの気持ちはどうだろう? 明らかにした研究があります。
- ヒアリに攻め込まれた在来アリはストレスいっぱいですと報告。ストレスホルモン(corticosterone)測定で。
- 外来アリの侵入は脅威であるが個体数への影響についての報告は数多いが、在来アリが殺されない範囲での影響は、あまり研究されていない。そこで、外来のヒアリ(Solenopsis invicta)が、在来種のSceloporus undulatusに対する影響を調査した。
- ひとつは、在来種をヒアリの攻撃に直接さらしてストレスホルモンのコルチコステロンを測定するというもの。結果、コルチコステロン数値の上昇が認められ、ヒアリの攻撃にさらされている在来アリは生理的にストレス状況におかれていることが実証された。
- もうひとつは、ヒアリが自然に準じた環境にいるところに在来アリを閉じ込めたしたもの。こちらではコルチコステロンレベルは上昇しなかった。閉じ込め効果とヒアリの直面と重なり、ストレス反応のネガティブフィードバックが働いたものと思われる。というのも、adrenocorticotropic hormone 反応は認められ、免疫抑制も起こっていなかった(血漿バクテリア変化せず)
なんだかとっても気の毒な実験です。
ヒアリに攻撃された在来アリさんはストレスいっぱい!ということをステロイドホルモンレベルで実証。ネット世論では、日本にヒアリが入ってきても大丈夫、在来アリさんがいるから!という論調も結構有力ですが、アリさんの気持ちにも想いをはせましょう。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28384419
2017 May/Jun;90(3):328-337. doi: 10.1086/689983. Epub 2016 Dec 28.