ケイジロウ、
冬の寒くて、タマの縮む季節こそ、湯船に浸かれば、パラダイスな感覚に捕らわれるモンや。
ここに、
アサノと言うジジイがいた。
リストラされて、やむ無く始めた商売もうだつが上がらず、
こうして、
歳を取るだけの日々と成った。
ジジイは、一人息子と絶縁されていた。理由は、オレオレ詐欺に引っ掛かり、
息子に残すべき金を渡してしまった事にある。
更に、
最近、
とある信仰宗教に騙され、
有り金総てが消えた。このアサノを騙した宗教の名前はわからないが、アサノを知る多くの人達が、アサノを巧みに導いた神として、蔑んでいるとの事。
とにかく、ジジイは、疲れていた。何もかもに疲れていた。悪運に憑かれていた日々を忘れる為にも、湯船に浸かれて、うれしさ感じた。
ジジイは、湯船の暖かさに、なんとなく、母親の母胎を想像した。
それだけ、心身共に、疲労の極にあり、
こうして、
冬の湯船の有りがたさを骨身に感じつつ、ジジイは、満足できた。
ジジイは、湯船の中に大きく手足を伸ばし、
そして、
死んだ🛐