内田百「ノラや」中公文庫であります。
ネコへの愛情があふれ、面白かったですが、途中で、ちょっといやになりました。
それは、かわいがっていたノラというネコが行方不明になり、
懸命に探すのですが、似たネコがいたという情報で見に行ったが、違った。
というふうに、ノラの消息について、毎日のように心配している日記風になっているのです。そして、
「今日もノラは帰らなかった・・・」「・・・・涙がとまらず」
などの同じような記述の日記が延々と続くのです。
ノラとの出会いや飼い猫になってゆく様子などは、ネコ好きにはとても楽しい話ですが、
行方不明になってからが急につまらなくなります。
月刊雑誌で連載していたようなので、雑誌で見るぶんには1ヶ月経っているので、違和感がないかもしれませんが、
1冊の本で読むと、もういい加減にしてよ!といいたくなります。この辺は読み飛ばしてください。
でもこの辺以外は、さすが内田百ですね、軽快な文章です。夏目漱石の弟子なのですね。