「花も咲いてないし なーんも撮るところ無いっしょ」落ち葉を掃き清めていた
らしい女性に話しかけられる 花の寺でもなく、ましてこの季節当然の問いかけ
何にもないから良いんですと、答えて境内を見回す なるほど何にもない・・・が
あるではないか 文化14年造立 七観世音菩薩の石塔が かたすみにひっそりと
観世音は世の人々の音声を観じて、その苦悩から救済する菩薩 人々の姿に応じて
人々の願いに応じ千変万化の相となるといい、その姿は三十三観音、六観音、とも
評される 天台宗では一つ加えて七観音だが当山は真言宗とあるいつの事か宗旨替え
したのかも知れない 聖、十一面、 千手、 馬頭、如意輪、准胝、不空羂索 を
七観音と称し、六道輪廻の思想に基づき、観音が道に迷う衆生を救うという考えから
生まれたものだとの事だが 一つの石塔に七観音全て 彫り込んだのは初めて拝見
彫も深く 中々の出来だ 観世音菩薩よいまの世の乱れを正しては貰えないものか
街の片隅の あまり人には知られていない小さな寺の 小さな古びた石像に祈りを
ささげ 得体のしれない悪魔のようなウイルス退散を 願った次第。
ほうふくじ 川口市里