ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

バンテージ・ポイント

2008年03月11日 | 映画館で見たばっかり篇
大統領狙撃の真犯人をシークレットサービス(デニス・クエイド)が追い詰めるという至極単純なストーリーではあるが、編集の妙によってここまでの作品に仕上げた手腕には拍手を送りたい。この映画は、いいところで話を終えると続きが見たくなるという<To be continued>効果を最大限に利用した1本なのだ。あえて例えるなら、ヘ○スの40分コースで時間切れで寸止めを食らうと、思わず延長してしまうあのノリと似ているかもしれない(チョット違うか?)。

○○○○までの8人の目撃者のシークエンスを並列にならべ都度巻き戻す、という今までありそうでなかった編集がなんとも斬新だ。観客はその度にお預けをくわされ、必然パブロフの犬のように涎をたらしまくるという仕掛になっている。テロの真犯人追及に付随して起こる複数の事件の結末も同様にお預けを食らうので、見ている方は最後まで飽きることはない。

『メメント』ではラストからビギンに遡るという演出が秀逸であったが、この『バンテージ・ポイント』もリバース編集という演出により、なんでもないストーリーがここまで化けた事実には驚きを隠せない。昨今はリメイクばやりで、終にあの天然記念物の黒澤明作品にまで手をつける末期症状を示し初めている邦画界ではあるが、そんな安直な手法に頼らずとも、頭を使って工夫すればいくらでもいい映画が作れる可能性を、本作品は示しているのかもしれない。

監督 ピート・トラヴィス(2008年)
〔オススメ度 

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