ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ミッドサマー

2023年01月26日 | ネタバレなし批評篇

前作『ヘレディタリー/継承』をご覧になった皆さんの中で、この監督が撮った作品を2度と見るもんか、と心に誓った人も多かったことだろう。“現代最高の恐怖”が聞いて呆れるなんちゃってホラー、それが私の正直な感想だ。しかし、ホラーとしてアリ・アスターの映画を見るからそう思うのであって、しかめっつらしいの評論家に😜をかました一種のコメディとして見れば、それなりの鑑賞に耐えうる作品なのではないか。実はA24製作映画全般に共通して云えることのような気がするのだ。

元々はフォーク・ホラーのシナリオ執筆依頼に端を発している本作は、スウェーデンのカルトなコミュニティが舞台になっている。太陽が夜中まで沈まない白夜を祝う、ヨーロッパ各地に古くから伝わる夏至祭に招かれたアメリカ人4人組。グローバル・スタンダードからは想像もつかない残酷な儀式を描くために、北欧神話や伝説をかなり研究しミックスさせたとアリ・アスタ―はインタビューで語っている。要は溝口正史の八つ墓村を思い出していだだけれは割と想像しやすいのかもしれない。

村民の誰と誰ができていて、誰にどんな持病があるのか、あそこの嫁は妊娠中で、あそこの娘は初潮をむかえた、なんて個人情報をすべて共有している閉鎖的コミュニティなのである。そこで問題になるのは常に近親婚の悪影響。外部の血をいかに内部に取り込むかが最重要課題となるわけで、コミュニテイ存続のためには外から人を連れてくるスカウトのような人材も必要になってくる。そして、用済みになった年寄は“姥捨山に捨てられたり、崖から飛び降りたりして自ら人減らしに協力するのである。

スカウト役のペレに騙されて、スウェーデン・コミュニティの夏至祭に招かれたアメリカ人カップルのダニーとクリスチャン。ダニーは自分以外の家族が車の排気ガスを吸い込んで自殺、精神不安定なダニーに依存されている彼氏クリスチャンは、そんなダニーを内心鬱陶しく思っていた。この後コミュニティに適合しない他の余所者は次々に消されていき、残ったダニーとクリスチャンも離れ離れにされてしまう.....

本作のクライマックスはなんといっても、クリスチャンと村娘との✕✕✕シーン。全裸の女たち(含む婆さん)に囲まれながらの集団公開✕✕✕。娘がヨガルたんびに周りを取り囲んでいる村の婆さまたちもヨガリの大合唱。おそらく、大麻やハーブティの幻覚作用を使って、村人全員は意識の共有化を図っていたのであろう。このシーンで大笑いすることができない人は、147分の本作を最後まで見ても時間の無駄。クリスチャンのようにフルチン姿で早々に退散されることをおすすめしたい。

※物語全体がシェイクスピア『真夏の夜の夢』の完全なパロディになっていることに、今更ながら気がつきました。だから評論家も本作に低い点数つけられなかったんだね。やられた~。

ミッドサマー
監督 アリ・アスター(2019年)
オススメ度[


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