TAZUKO多鶴子

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備前の町から見た吉井川…土と備前焼

2007-11-17 | TAZUKO多鶴子からの伝言
今日は岡山県備前市を通りました。
備前の町…
亡き父に…
ブログ写真周辺の吉井川近辺まで
昔、時々連れて行ってもらったことを思い出します。
そして祖父が古美術商をしていた為、
祖父から貰い受けた
備前焼の大きな壷が庭にあったのをとても懐かしく感じます。
それから
仕事の関係で陶芸作家の窯元を何件も拝見させて頂いた事もありました。
そんな様々な思い出が備前周辺にはあります。

備前焼は、1000年の歴史を有する、
日本に生まれた最も古い陶器の六つの窯(いわゆる中世六古窯)の一つで、
全国的に有名です。
備前焼の特色は、釉薬(ゆうやく)を使わず絵付けもせず、
土の味が直接あらわれているもので、
土と火による窯変を尊重しているところにあります。
窯変は、焼き物を焼く時にできる模様です。
この模様は、
窯の中での灰の降りかかり具合とか
炎の当たり具合によって生まれるものだそうです。

また備前焼には、
古来から様々な効用が言い伝えられています。
花瓶の花を長持ちさせたり、
水やお酒をまろやかに、おいしくさせる働きとか
備前焼の器にお酒を注ぐと二日酔いしにくいとか…。
取り上げればきりがありません。

その備前焼の素晴らしさは
どうも土にあるようです。
備前焼の土は、鉄分が多く、きめがこまかいことから、
美しい光沢や変化に富んだ陶器になります。
そして
高熱で長時間焼かれることで構造変化が起き、
微弱な電磁波を放出する性質が生まれたのではないか…
まさに魔法の土です。
その為
いい土はすぐに買い占められてしまい、
沢山備前焼の土を持っている=資産家
だとの事。
資産家になれたのも土の御陰です。
その土は何億年、何十億年という想像を超えた時間をかけて
今、備前に存在している粘土、
田んぼの下に堆積した粘土になって
出来上がってきたのでしょうね。

備前の土を考えると…

『砂漠の陶芸家達は日本に憧れます。
   日本は水の国、
         まるで夢のような国だ…』

そんな素敵な話しを思い出します。
美研インターナショナルが主催した『東大寺』の講演で聞いた見事な内容の話しでした。

そんな言葉からでもTAZUKO多鶴子は痛感します。

自然が日本をつくり、
土をつくり、
陶芸家をつくり、
備前焼をつくったのだと…。
そして
備前焼は
日本という水の国で
自然からのありがたい恵みなのでは無いか…と。