『青山二郎・全文集』より

作家にとっては、
作品が彼の全部だと言はれています。
この近代芸術の、
追ひつめられた一理論を
信用し過ぎるのは危険であります。
昔から或る一流の政治家の著作や、
宗教家の彫刻なぞがあって、
彼等は作品を
人生の余技に過ぎない様な
言ひ方をしています。
今日の専門家の思想から
直接生まれた所産でなしに、
彼等はその思想と
寧ろ反対の側から、
時々不思議な爪の跡を覗かせました。
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　　　　……　青山二郎　……



〈参考資料〉『青山二郎・全文集』
　　　　　著者：青山二郎
　　　　　発行者：菊池明郎
　　　　　発行所：（株）筑摩書房