TAZUKO多鶴子

ページ内の文章及び作品の著作権はTAZUKO多鶴子が有するものとし、他者がそれらを無断で転載することを固く禁止とします。

眼は言葉である…青山二郎より

2008-07-15 | TAZUKO多鶴子からの伝言
眼は言葉であると度々私は言った。
同じ様に、
耳は音といふ言葉を見ている。
して見ると、
眼にも言葉がある筈だが
人間に聞こえないのである。
人間に聞こえなければ
(喋ったり、考えたり、読んだり、しない処に)
言葉はないかと言ふと、
五官といふものは
そんなものではない。
頭脳的媒介なしに
眼は言葉を発見して行くし、
人が考へている様に、
誰の眼も一様なものでは
決してないのである。
大方は思考に趣味があって、
趣味が単なる眼玉を駆使して
例えば美術品を選ぶ。
では美術品の方から見て、
その感銘が思考や趣味を刺激するから、
美を認めるのだらうか。
その逆である。

     …青山二郎全文集より…



参考資料:『青山二郎 全文集 上』
    著者:青山二郎
    発行者:菊池明郎
    発行所:(株)筑摩書房