2013年12月9日。
《日本ではあまり知られていない国、スーダン。在日邦人も100人程度しかいないという。そんな国スーダンであるが、この地で奮闘する若い日本人もいるのだ。今回は、そんなスーダンで活躍する若きJICA青年海外協力隊員の「自動車整備士」の方にインタビューをさせていただいた。》
彼の名前は眞下都史。スーダンに派遣されて間もなく1年になる。自動車整備士としてこの国にやってきた彼は、首都ハルツームの職業訓練校で活動をしている。
彼のすごさは、なんといっても現地人とのコミュニケーション力。巧みなアラビア語とボディランゲージを駆使して、あっという間にスーダン人との関係を築いてしまう。それは見ている方が気持ちいいほど鮮やかで、僕も感心しながらその様子を眺めている。そんな眞下さんに「世界で活躍する日本人」として、ここまでの活動を振り返っていただいた。
Q1:眞下さんの簡単な経歴を教えていただけますか?
A1:僕は高校卒業後、2年間フリーターをしていたんです。その後専門学校に進み、卒業して就職をしました。本当はJICAの活動に参加をしたかったのですが、知り合いのJICAのOBの方から「まずは経験を積みなさい。そうでないと、現地に行っても何もできないから。」とアドバイスをいただき、まずは日本で働くことにしました。
その後一度退職してまた別の専門学校に進み、別の会社に就職し直しました。そこで経験を積んだ後、思い立ってJICAの活動に申し込んだのです。
Q2:海外でのボランティア活動に興味を持ったきっかけは何だったんですか?
A2:高校生の時、テレビのドキュメンタリー番組で、日本の看護学校の学生が南アフリカ共和国で医療活動に携わる現場を見たんです。その時日本の学生は手袋とマスクをして患者さんと接していたのですが、現地の人はそれをしていなかった。それを見たとき、「ボランティアって何なんだ?」って思ったんです。なんか違和感を感じたんですね。
その番組の中では、間もなく死を迎えそうな子どもの様子が出てきたのですが、「僕はこの子に対して何ができるんだろう」と真剣に考えました。そして僕だったら、この子と一緒に笑いたいと思ったんですね。そんな様子を見ていく中で、ものすごく海外の活動に興味を持つようになりました。
Q3:なるほど、きっかけはテレビの番組だったんですね。実際にスーダンという国に来て約1年、上手くいかなかったことや困ったことなどを教えて下さい。
A3:実は僕の勤務先には別のプロジェクトも入っていて、現場がとても忙しいんですね。先生方もとても忙しく、なかなか自分なんかが意見を言うのが難しい空気がありました。あくまで僕は一隊員なので、どこまでどう話をすればいいのかと・・・。
あとは、資金の問題を感じます。今は他のプロジェクトも入っているので物品を買うことができるのですが、もしそれが終わってしまったとき、この学校はどうなってしまうのだろうと。継続して、この学校だけで運営できるようにしていくことが大事なので、そのことを心配しています。
Q4:では逆に、上手くいったことや良かったことはありますか?
A4:とっても基本的な話なのですが、南京錠の管理が一番上手くいきました(笑)。この学校は南京錠をたくさん使用していて、1つ1つのドアを開けるのがとても大変なんです。先生方もたくさんの鍵を持っていて、どれがどれだか分からなくなるんですね。
ですから僕のアイデアで、どれがどこの鍵かすぐ分かるようにキーボックスを作って番号を付けたんです。そしたら、格段にドアの開け閉めが早くなった。また難しくないので、これは1年間運用されています。
Q5:なるほど、小さな話かもしれませんが、大事なことですよね。眞下さんの普段の活動の中で、一番気をつけていることは何ですか?
A5:僕はとにかく現地の方との人間関係を大事にします。敬意を持って接し、相手を尊重する。1対1の人間関係をとにかく大事にする。それが全てのベースだと思うんですよね。押し付けではない支援にするために、そのことを常に考えています。
Q6:ここまでの活動の中で、一番得られたものはどんなことですか?
A6:とにかく人との出会いですね。それはスーダン人でもあるし、日本人でもあります。僕は未熟者なので助けてもらってばかりなのですが、それでも僕は僕にとって必要な人と出会え続けていられているということなので、それでもいいのかなと思っています。それをこの後他に還元できれば・・・。
スーダン人の方はとても繊細で優しいんですね。そこからの学びもたくさんあります。「相手に優しくすることは、自分の喜びである」ということを深く感じました。僕は活動を通しながら「もっと共に喜びたい」と、強く思うようになったんですね。そのことを感じられていることが、一番得られていることなのかもしれません。
Q7:スーダン人の優しさは、僕も日々驚かされています。では最後の質問なのですが、眞下さんのように積極的に世界に飛び出している人がいる一方で、今の日本の若者はなかなか外に出たがらない、いわゆる「内向き志向」だと言われています。そんな日本の若者に、ぜひメッセージをお願いします。
A7:「相手を知れば自分を知れる」ということですね。外に出て他の国を見ることで、日本のことを知ることができるわけです。当たり前のことが当たり前じゃないことが分かる。違いが互いに存在することが分かる。それが分かれば、いじめなんてなくなるし、世界はもっと平和になると思うんです。
そして外に出ることで、日本の素晴らしさを感じてほしいですね。日本のものはとっても丈夫なんだとか、道がとても綺麗なんだとか、赤信号で必ず止まるんだとか・・・(笑)。繰り返しになってしまいますが、日本での当たり前の中に、その素晴らしさがたくさんあると思うんですよね。中にいると気付かないそのことに、ぜひ感じてほしい。
併せて、日本の評価も知ってほしいです。海外に出ると分かりますが、日本の評価は絶対に高いと僕は思います。しかし最近、そんな先人たちが築いてきてくれたものが失われつつあるようで、そのことはとても心配しています。
Q8:「先人たちが築いてくれたもの」という想いは、僕も全く同じです。今日はお忙しいところ本当にありがとうございました!
A8:こちらこそ!ありがとうございました!
眞下さんは本当に真面目で直向きな方で、目の前にある課題に真摯に取り組んでおられる。そんな「草の根」の活動こそが日本の支援活動の根幹であり、また日本人の良さなのだろうと強く感じさせられた。
また、何より現地の方との関係を重視する姿勢にも感銘を受けた。欧米のNGOなどは「押し付け」の支援になりがちだとの話をよく聞くのだが、果たして日本はどうなのか。そうならないためにも、現地の方との信頼関係を重視する姿勢は絶対に大切だと思う。眞下さんのその直向きな姿勢に、僕は大いに学ばせていただいた。
眞下さんの任期はあと1年。ぜひ最後まで、スーダンの人々のために尽力してほしいと心から願っております。頑張れ、眞下さん!
2013年12月9日。夕暮れの風が心地よいハルツームの街中にて。
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《日本ではあまり知られていない国、スーダン。在日邦人も100人程度しかいないという。そんな国スーダンであるが、この地で奮闘する若い日本人もいるのだ。今回は、そんなスーダンで活躍する若きJICA青年海外協力隊員の「自動車整備士」の方にインタビューをさせていただいた。》
彼の名前は眞下都史。スーダンに派遣されて間もなく1年になる。自動車整備士としてこの国にやってきた彼は、首都ハルツームの職業訓練校で活動をしている。
彼のすごさは、なんといっても現地人とのコミュニケーション力。巧みなアラビア語とボディランゲージを駆使して、あっという間にスーダン人との関係を築いてしまう。それは見ている方が気持ちいいほど鮮やかで、僕も感心しながらその様子を眺めている。そんな眞下さんに「世界で活躍する日本人」として、ここまでの活動を振り返っていただいた。
Q1:眞下さんの簡単な経歴を教えていただけますか?
A1:僕は高校卒業後、2年間フリーターをしていたんです。その後専門学校に進み、卒業して就職をしました。本当はJICAの活動に参加をしたかったのですが、知り合いのJICAのOBの方から「まずは経験を積みなさい。そうでないと、現地に行っても何もできないから。」とアドバイスをいただき、まずは日本で働くことにしました。
その後一度退職してまた別の専門学校に進み、別の会社に就職し直しました。そこで経験を積んだ後、思い立ってJICAの活動に申し込んだのです。
Q2:海外でのボランティア活動に興味を持ったきっかけは何だったんですか?
A2:高校生の時、テレビのドキュメンタリー番組で、日本の看護学校の学生が南アフリカ共和国で医療活動に携わる現場を見たんです。その時日本の学生は手袋とマスクをして患者さんと接していたのですが、現地の人はそれをしていなかった。それを見たとき、「ボランティアって何なんだ?」って思ったんです。なんか違和感を感じたんですね。
その番組の中では、間もなく死を迎えそうな子どもの様子が出てきたのですが、「僕はこの子に対して何ができるんだろう」と真剣に考えました。そして僕だったら、この子と一緒に笑いたいと思ったんですね。そんな様子を見ていく中で、ものすごく海外の活動に興味を持つようになりました。
Q3:なるほど、きっかけはテレビの番組だったんですね。実際にスーダンという国に来て約1年、上手くいかなかったことや困ったことなどを教えて下さい。
A3:実は僕の勤務先には別のプロジェクトも入っていて、現場がとても忙しいんですね。先生方もとても忙しく、なかなか自分なんかが意見を言うのが難しい空気がありました。あくまで僕は一隊員なので、どこまでどう話をすればいいのかと・・・。
あとは、資金の問題を感じます。今は他のプロジェクトも入っているので物品を買うことができるのですが、もしそれが終わってしまったとき、この学校はどうなってしまうのだろうと。継続して、この学校だけで運営できるようにしていくことが大事なので、そのことを心配しています。
Q4:では逆に、上手くいったことや良かったことはありますか?
A4:とっても基本的な話なのですが、南京錠の管理が一番上手くいきました(笑)。この学校は南京錠をたくさん使用していて、1つ1つのドアを開けるのがとても大変なんです。先生方もたくさんの鍵を持っていて、どれがどれだか分からなくなるんですね。
ですから僕のアイデアで、どれがどこの鍵かすぐ分かるようにキーボックスを作って番号を付けたんです。そしたら、格段にドアの開け閉めが早くなった。また難しくないので、これは1年間運用されています。
Q5:なるほど、小さな話かもしれませんが、大事なことですよね。眞下さんの普段の活動の中で、一番気をつけていることは何ですか?
A5:僕はとにかく現地の方との人間関係を大事にします。敬意を持って接し、相手を尊重する。1対1の人間関係をとにかく大事にする。それが全てのベースだと思うんですよね。押し付けではない支援にするために、そのことを常に考えています。
Q6:ここまでの活動の中で、一番得られたものはどんなことですか?
A6:とにかく人との出会いですね。それはスーダン人でもあるし、日本人でもあります。僕は未熟者なので助けてもらってばかりなのですが、それでも僕は僕にとって必要な人と出会え続けていられているということなので、それでもいいのかなと思っています。それをこの後他に還元できれば・・・。
スーダン人の方はとても繊細で優しいんですね。そこからの学びもたくさんあります。「相手に優しくすることは、自分の喜びである」ということを深く感じました。僕は活動を通しながら「もっと共に喜びたい」と、強く思うようになったんですね。そのことを感じられていることが、一番得られていることなのかもしれません。
Q7:スーダン人の優しさは、僕も日々驚かされています。では最後の質問なのですが、眞下さんのように積極的に世界に飛び出している人がいる一方で、今の日本の若者はなかなか外に出たがらない、いわゆる「内向き志向」だと言われています。そんな日本の若者に、ぜひメッセージをお願いします。
A7:「相手を知れば自分を知れる」ということですね。外に出て他の国を見ることで、日本のことを知ることができるわけです。当たり前のことが当たり前じゃないことが分かる。違いが互いに存在することが分かる。それが分かれば、いじめなんてなくなるし、世界はもっと平和になると思うんです。
そして外に出ることで、日本の素晴らしさを感じてほしいですね。日本のものはとっても丈夫なんだとか、道がとても綺麗なんだとか、赤信号で必ず止まるんだとか・・・(笑)。繰り返しになってしまいますが、日本での当たり前の中に、その素晴らしさがたくさんあると思うんですよね。中にいると気付かないそのことに、ぜひ感じてほしい。
併せて、日本の評価も知ってほしいです。海外に出ると分かりますが、日本の評価は絶対に高いと僕は思います。しかし最近、そんな先人たちが築いてきてくれたものが失われつつあるようで、そのことはとても心配しています。
Q8:「先人たちが築いてくれたもの」という想いは、僕も全く同じです。今日はお忙しいところ本当にありがとうございました!
A8:こちらこそ!ありがとうございました!
眞下さんは本当に真面目で直向きな方で、目の前にある課題に真摯に取り組んでおられる。そんな「草の根」の活動こそが日本の支援活動の根幹であり、また日本人の良さなのだろうと強く感じさせられた。
また、何より現地の方との関係を重視する姿勢にも感銘を受けた。欧米のNGOなどは「押し付け」の支援になりがちだとの話をよく聞くのだが、果たして日本はどうなのか。そうならないためにも、現地の方との信頼関係を重視する姿勢は絶対に大切だと思う。眞下さんのその直向きな姿勢に、僕は大いに学ばせていただいた。
眞下さんの任期はあと1年。ぜひ最後まで、スーダンの人々のために尽力してほしいと心から願っております。頑張れ、眞下さん!
2013年12月9日。夕暮れの風が心地よいハルツームの街中にて。
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