2013年12月12日。
《「世界で活躍する」と書くと、何だかとっても大それたイメージを与えてしまうが、「世界で活躍する」ってどういうことなんだろう。多国籍企業の社長になること?NGOを設立すること?果たしてそれだけだろうか。そうでなければいけないのだろうか。そうではない草の根の「活躍」にこそ、本質が隠されているような気がする。》
「私はJICAボランティアに参加すると、小学校の時から決めていたんです。」
そう力強く語ってくれた若き日本人が、スーダンの首都ハルツームで活躍している。彼女の名前は瀬戸山倫代さん。日本では栄養士をしていた彼女だが、今はこのハルツームで日々奮闘している。
今回はそんな彼女に、「世界で活躍する日本人」としてインタビューをさせていただいた。
Q1:瀬戸山さん、どうぞよろしくお願い致します。
A1:こちらこそよろしくお願い致します。
Q2:瀬戸山さんは、どうして海外でのボランティア活動に参加しようと思ったんですか?
A2:私はJICAボランティアに参加すると、小学校の時から決めていたんです。そのきっかけは、私のおばあちゃんの話でした。
おばあちゃんは私に「人は何のために生まれてきたか知ってる?」と質問しました。そしておばあちゃんはその答えとして「人はね、人の役に立つために生まれてくるんだよ。」と教えてくれたんです。私はそれを聞いて、人の役に立つ仕事がしたいと思いました。
そして小学5年先生の時の担任の先生がJICAのOBで、色々な海外の話をしてくれました。人格的にも素晴らしい先生だったんです。この先生のクラスになったことが直接的なきっかけですね。私はこの時、将来はJICAボランティアに参加すると心に決めたんです。
Q3:素晴らしいおばあさんと先生ですね!そんな出会いに巡り合えた瀬戸山さんが羨ましいです。JICAボランティアに参加する前の簡単な経歴を教えていただけますか。
A3:JICAを意識して、自分の専門や就職先を考えていました。私は日本で栄養士をしていたのですが、まずは栄養指導専門の企業に就職しました。やはり現場での経験を積みたかったんですね。その後老人ホームでの勤務を経て、某企業の社員に対する栄養指導をする仕事に就き、それを経てJICAに参加しました。
Q4:満を持して!といった感じですね!派遣国のスーダンは当初の希望とは違ったということですが、スーダンという国の印象はいかがですか?
A4:日本みたいな国、という印象です。スーダンはイスラム教が根付いていますが、その教えが日本に似ていると思うんです。たとえば「お年寄りに優しく」とか、「身の清潔を保ちなさい」とか。イスラムの教えに対して信心深いのに、何だかとってもサッパリしていて接しやすいですし。
人々はとってもお節介ですよね、良い意味で(笑)。何だか古き良き日本のような、懐かしさを感じるんです。世界的には嫌われ者の国家のレッテルを張られてしまっているようですが、私はとてもこの国に可能性を感じています。
Q5:前回インタビューさせていただいた眞下さんも、スーダンに日本的な臭いを感じているとおっしゃっていました。お2人の意見が一致しているのは興味深いですね。ここまでの活動を通して、上手くいったことや重視していることはありますか?
A5:私はまだ6ヶ月の滞在しかしていなくて、まだまだ仕事の意味では成果を残せていないと思います。でもこの半年間で、スーダンの生活習慣を否定することなく上手く馴染めていると自負しています。もちろん日本人ですから日本人であることは主張しますが、スーダンのことを理解したいと常に周囲に示しています。そういった意味では、良いスタートが切れていると思います。
Q6:現地への理解は本当に大切なことですよね。逆に、失敗談などはありますか?
A6:言葉の壁にやられていますね・・・(笑)。まだまだアラビア語が不十分なので、何を言っているのか分からないことが多々あります。そのような時、分からないからもっと説明してほしい、ということが言えないんですね・・・。もっと突っ込んでコミュニケーションを取る必要があると思っています。それでも、優しいスーダン人に助けられているんですけどね。至らない自分であることが一番の失敗だと感じています。
Q7:至らない自分・・・心苦しいですね(笑)。ではこの半年間で、得られたものは何かありますか?
A7:まずは「度胸」ですね。スーダンに来た当初は、言葉も分からない、バスの乗り方さえ分からない、値段も分からない・・・そんな状況でした。でもそんな中でも飛び込んでいって、何とかこなしてこられた。分からなければ聞けばいい。知らない人に身を委ねる勇気も付きましたね(笑)。
そして「アジア人としての自覚」が付きました。スーダンは中国人が多いこともあって、街中を歩いていると「チャイナ!」とか「ニーハオ!」とよく言われるんです。スーダン人が一番知っているアジア人は中国人であって、彼らから見れば日本人も中国人も韓国人も同じように見える。
そのことを考えたとき、「ああ、私は日本人であると同時にアジア人なんだな」ということを感じました。また、スーダン人が「チャイナ!」や「ニーハオ!」と声をかける背景には、少なからず中国人への蔑視があるようなのですが、そのことを通して、中国人の立場も考えるようになりました。
Q8:まさにスーダンの生活そのものに身を置いているからこその収獲ですね。最後に、最近内向きだとか外に出たがらないとよく言われている日本の若者に、海外で活躍する日本人の代表としてメッセージをお願い致します。
A8:海外に行くことは、やる気さえあればいつでも行けます。もし1度でも海外に興味を持ったら、その興味を大切に持ち続けてほしいと思います。興味を持ったとしても、お金の問題があったり年齢的に不可能だったりすることもあるでしょう。でも、今すぐでなくても、気持ちさえ持ち続けていれば、必ずチャンスがやって来ます。興味を持ち続け、いつかできるときに飛び出してほしいですね。
あと、別に必ずしも海外に出ることがベストな選択ではないと思うんです。海外への興味は持ってほしいと思いますが、日本でできることもたくさんあります。大切なのは、興味を持てるかどうかですよね。気持ちの問題だと思います。
Q9:「一度持った興味は大切にしてほしい」という言葉、とても共感します。お話を聞いていて、僕の方が勉強になりました。お忙しい中本当にありがとうございました!
A9:こちらこそありがとうございました!
僕はこの旅の目標の1つとして、「世界で活躍する日本人にインタビューをする」ことをテーマに置いている。ここまでの旅の中で何人もの日本人にインタビューをさせていただいたが、その度に考えさせられる。
「世界で活躍する」って、何なんだ?と。
JICAボランティアの方々にも数多くお話をお伺いさせていただいたが、彼らの活動はまさに「草の根」である。ハッキリ言って、派手ではない。よっぽどのことでもない限り、個人のボランティアの活動がメディアに取り上げられることなどないであろう。
しかし、この「草の根」こそが、「世界で活躍する」ことの本質なんだと思う。
日本は多額のODAを出資しているし、ボランティアから役人まで、数多くの日本人が海外で活動している。しかしその全ての目標は同じであって、「現地の人々の生活を向上させること」である。立場は違えど、原点となるのは「草の根」という考え方のはずだ。いや、そうでなければいけないと僕は思う。
瀬戸山さんは、そんな原点を大切にし、忘れることなく活動をされている。きっと現場のスーダン人から大きな信頼を得ていることであろう。僕は瀬戸山さんとお話をしていて、「世界で活躍する」ことの小さくて大きな原点を改めて感じさせられた。
これからの瀬戸山さんのご活躍を、心よりお祈りしております!
2013年12月12日。エリトリアとの国境付近の街、カッサラの安宿にて。
※前回インタビューさせていただいた、眞下さんと3人で記念撮影をしました~!(*^^*)
※このピザは、ハルツーム一でっかいピザだそうです。直径なんと50cm!3人で仲良く食べました~!(*^^*)
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