魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【銀行業務及び中央銀行の金融政策③】

2018-01-29 14:00:13 | マクロ経済の基礎の基礎

【銀行業務及び中央銀行の金融政策②】からの続き

 連邦準備制度は世界経済を考える上で無くてはならない。此処では連邦準備制度の定義や仕組み、実際に行っている金融政策についての概要を示す。
 連邦準備制度(Federal Reserve System,FRS)とは、「連邦準備法によって創設されたアメリカ合衆国の中央銀行制度のこと」である。連邦準備制度(FRS)の中心と成るのが、連邦準備理事会(Fedral Reserve Board,FRB)で、日本の日本銀行に相当する。
連邦準備理事会(FRB)は任期14年の7名の専任理事により構成されて居る。7名の専任理事は、米国合衆国大統領に任命され 、上院によって認められている。金融政策の一貫性を保つことが非常に重要としているので、専任理事の任期は14年という長い期間に成って居る。連邦準備理事会(FRB)は何処の党派にも属さず、独立して政策を行ってる
 連邦準備制度(FRS)では主に連邦準備理事会(FRB)が中心である。連邦準備理事会(FRB)は連邦準備銀行を束ねる中央機関の役割を担ってる。
 米国国内を12の地域に分け、「12行の連邦準備銀行」を国内に設置してる。ボストン、ニューヨーク、サンフランシスコなど特に大きな都市に集中して配置されている。「連邦準備銀行はFRBの管理の元、夫々が独立して運営されて居る」。
 連邦準備銀行は夫々の地域の経済学者や専門家の人達と一緒に協力して、専門知識の共有や地域ごとの展望をお互いに提供し合って居る。
 商業銀行が顧客に行うサービスと似通ったサービスを行うことから屡「銀行の銀行」と呼ばれてる。連邦準備銀行は、其の地域に在る銀行との紙幣の貸し借りの取引やインターネットを介した取引だけで無く、米国の金融政策を決定する最高意思決定機関である連邦公開市場委員会(FOMC)が行われる2週間前に地区連銀経済報告書を作成するなど、幅広い業務を行う銀行である。
 以上のことから、「連邦準備理事会(FRB)が12行の連邦準備銀行を束ね、連邦準備銀行が各地域の商業銀行をまとめている」という構図に成ることが分かる。
 連邦準備理事会(FRB)と日本銀行には違いがある。
 連邦準備理事会(FRB)は米国国内に12行ある連邦準備銀行を束ねる中央機関であり銀行では無い。日本銀行は、我が国唯一の中央銀行ですので、FBRは銀行で無いので先ず此の点で日銀とは違いがある。
 更に業務内容にも違いがある。日本銀行は紙幣を発行することが出来る発券銀行ではあるが、連邦準備理事会(FRB)は銀行で無いので、「紙幣発行」は出来無い。米国では発券する役割を持っているのは連邦準備銀行にある。日本銀行が行う金融政策の実行を米国では「連邦準備銀行」が担っている。
 連邦準備制度の重要な「信用統制の3つの手段」と言われるものは、
① 公開市場操作
② 支払準備率操作
③ 割引率操作
である。
 「公開市場操作」は、連邦準備銀行に依る「政府証券」の売買に基づく、売買の決定に関する政策は公開市場委員会に依って決められ、其れがニューヨーク連邦準備銀行によって実施されるのである。

 

これからの金融

日本では金融再編(銀行の吸収・合併)が進んでいます。金融再編によって誕生した巨大な金融グループはメガバンクと呼ばれ、資産規模としては海外のメガバンクに並んでいます。しかし、海外の銀行に比べ、日本の銀行は収入の多くを受信授信業務で生まれる利ざやに頼っており、不良債権処理を進めつつ、収益構造の改善をしなければならなくなっています。

 では、①の公開市場操作の仕組みと効果が如何いうものか解き明かして試る。
 証券の需要増大 ⇨ 証券発行元は、証券の売値を高く出来る ⇨証券の「買い手が将来受け取る貨幣量は一定」であるので、利回り(「買い手が将来受け取る額/現在の証券価格」(☜利子率))は悪く成る ⇨「証券の価格が上がれば利子は低く成る
 ニューヨーク連邦準備銀行(連準)が幾らかの政府証券を購入する場合、如何いうことが起きるのか?
 連準の政府証券の買取は政府証券の需要の増加を齎すとことと考えれば、政府は証券の売値を高く設定出来るので、上で述べた理屈から証券の利子率は下がることに成る。同じ理屈で、証券価格の下落は利回りの上昇を意味することに成る。
 利子率の低下は政府証券に留まらず他の凡ゆる債券価格にも影響し、其れ等の利子率を下げることに成る傾向が認められる。政府証券の価格が高く成っても、初めのうちは影響は及ばされず政府証券を避けて、より利回りの良い他の債券の需要が増えて行くが、需要が増えれば価格は上がり、結局、債券市場全般の証券の価格の上昇が起こるのだ。

 以下、「信用の利用可能性」、「要求払預金」、「準備率」、「支払準備率」、等々復習として読むべし

👇

 

【マクロ経済学を一緒に勉強しよう!其の(21)】

【マクロ経済学を一緒に勉強しよう!其の(22)】

【マクロ経済学を一緒に勉強しよう!其の(23)】

【マクロ経済学を一緒に勉強しよう!其の(24)】

【古典派雇用論③】(独学併用)

【古典派雇用論③】(独学併用)

【古典派雇用論⑤:最終回】(独学併用)以降、別シリーズ次々予定

【投資需要は如何なる要因で決まるのか?③】

【銀行業務及び中央銀行の金融政策①】

【銀行業務及び中央銀行の金融政策②】

 

 政府証券の公開市場買操作に生じた既発行証券の利回り低下は新たな借手の利子率を低下させ、更に利子率が変わら無くとも「信用の利用可能性」を増大させることに成る。連準の操作以前には債券保有に依って5%の収入を取得出来た貸手(証券購入者)は今や其の収入が減少する。例えば、4%に成る。新しい借手(証券発行者)は証券を売って資金を獲得する上で「旧証券の利回り以上に支払う必要が無いということに注意を喚起する」ことに成る。
 例えば、既に市場に流通している証券の利回りがいま4%であるとすれば、旧証券と同じ程度危険を伴う新しい証券を発行し様とする人は、4%以上支払う必要は無いのだ ⇨「政府証券買操作」は総ての既発行証券の利回りを低下させ、更に新しい借手の利子率を低下させる。

 利子率低下に加えて、借手にとって、利回り不変とした場合の「信用の利用可能性」が増大するだろう。貸手は政府証券から5%の収入を取得するとき、借入れ需要の半分だけの貨幣量を6%で進んで貸出するだろ。然し、政府証券の利回りが4%に低下すれば、借手は利子率が変わら無い場合の需要額の半分以上を借り入れ得ることに気付くであるだろう。

 以上から、連準に依る証券の公開市場買操作は、直接効果として既発行証券の利回りを低下させ、新しい借手の利子率を低下させ、そして利子率不変とした場合の「信用の利用」を一層容易にさせることに成る。投資需要は部分的に利子率と利用可能性に依存するから、貨幣当局が経済を刺激したいと思うときには、証券を購入することに依って其れが可能と成る。此れは反対の場合にも明らかに成り立つ。当局が総需要の過剰を確信する時、政府証券の公開市場売操作を通じて利子率を上昇させ、信用の利用可能性を低下させるさせることに依って投資需要を低下させることが出来る。

 公開市場操作 ⇨信用のコストや其の利用可能性を直接変更させる傾向があるだけで無く、其の効果は商業銀組織に依って増幅させ得る。連準(連邦準備)が政府証券を購入する時、商銀行の政府証券購入をも増加させ得る☜商業銀行の購入量し得る量は連準購入量の倍数と成る👈ニューヨーク連邦準備銀行が10億$の政府証券を自己宛小切手(=預金小切手)で購入すると考える ⇨証券の売手は彼等の取引先の銀行に小切手を預金するだろう ⇨其の商業銀行は連邦準備銀行に其の小切手を預金することに成るだろう⇨総ての商業銀行の統合貸借対照表は次の様な変化を示すことに成る。

全商業銀行の統合貸借対照表


 商業銀行の立場からすれば、連準による公開市場買操作の重要な効果は、彼等の支払準備金と要求払預金債務が同額だけ増加するということである。彼等の支払準備率が分数であって、銀行が最初に十分な貸出しを行い、支払準備は過剰でも不足でも無い無かったとすれば、此れ等の銀行は今や超過準備を持つことに成るだろう。
 例えば、支払準備率が20%であるとすれば、銀行は新しい要求払預金債務10億ドルに対して2億ドル以上の支払い準備を必要とする。然し、銀行は新準備として10億$保有して居る。従って彼等は8億ドルの超過準備を保有することに成り、証券購入や貸し出しを増加させることが出来る。
 銀行は彼等の収益資産を何れだけ増加させることが出来るか。
 もし彼等が8億$だけ貸出しと証券保有を増加し其れを要求払預金で支払うとしても、彼等は尚超過準備を保有するであろう👈此のことが正しいということを理解する為に、商業銀行が何れだけの量の収益資産を増加すれば、全商業銀行の統合貸借対照表に如何いう変化が生じるかを見てみる。

全商業銀行の統合貸借対照表

  要求払預金の総増加は18億$に成る。即ち、連邦準備銀行に依る初の証券購入額10億ドルと、商業銀行の証券購入及び新しい貸出し8億$である。商業銀行は18億ドルの要求払預金債務を持つので、其の20%(3億6,000万円)の支払準備金を持たねば成らない。けれども、彼等の支払準備は10億ドル増加して居るのであるから、尚超過準備を持つことに成る。彼等は今や6憶4,000万ドル[の超過準備]を保有する。

銀行が預金の払戻しに備えて保有する流動資産。現金,中央銀行預け金,他行への預け金,外国通貨は流動性が高い為,第一線支払準備金といわれ,コール・ローンや買入手形等が第二線支払準備金といわれる[連邦準備銀行は、米国の連邦準備制度を構成する中央銀行。全国に12行設置。加盟銀行(連邦準備制度に加盟する)市中銀行の出資による。主要業務は,加盟銀行法定支払準備金の保有,連邦準備券の発行,手が手割引,貸出し,公開市場操作,国庫代理店等。→関連項目 ニューヨーク金融市場等

 従って、彼等は貸出し及び証券購入を一層増加し得る。彼等は収益資産を何れだけ増加し得るだろうか👇

LS= {(1-r)/r } R + IF

が、答えを与えてくれると教科書では書かれて居る。r=0.2であれば、(1-r)/r は、4と成る。連邦準備銀行への債務(IF)が不変で、Rが10億$増加したのであるから、商業銀行は全体として40億$だけ貸し出しの拡大や証券保有の増加を行うことが出来る。

 連準銀行による公開市場操作の主要な劇的効果は、商業銀行の活動に対する其の作用から生ずる。もし、連準が10億$の証券を購入すれば、此れだけでも利子率を低下させ、信用の利用可能性を増大させる。此の場合商業銀行は何10億$かの証券を購入したり、何10億$彼の新しい貸出しを行うことが出来るので、連邦準備銀行の活動を何倍か促進できるのである。

分から無い場合は、学習は前に学んだことの不完全燃焼。分かる迄何度も読み返す。

 つ づ く

 ※ 本投稿文中の綴りや語句の使い方や理論分析の誤りは、適当に解釈して貰うか、コメント欄で指摘して頂きたい。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿