【銀行業務及び中央銀行の金融政策①】からの続き
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中央銀行の役割と金融政策について知 …から借用
銀行券を独占的に発行し、銀行の銀行、政府の銀行としての業務を営み、一国の貨幣・信用制度の中核にたつ銀行であり、また、こうした機能に基づいて金融政策の運営にあたっている。
1882年(明治15)設立の日本銀行、1913年設立のアメリカ連邦準備銀行や、多くの開発途上国の中央銀行は、初めから中央銀行として設立された。こうして現在は世界どこの国にも中央銀行が設立されている。
第二次世界大戦後の1949年に戦時色の濃い日本銀行法は一部改正され、政策委員会の設置など民主化の条項が加えられた。しかし戦時立法を母体とする49年日本銀行法は、1950年代後半には大蔵省金融制度調査会において改正論議の対象になり活発に検討されたが、政府と日本銀行の関係について調査会報告としての結論に達しなかった。ところが、1980年代後半以降、金融の自由化・グローバリゼーションが急速に進展し、旧態依然の49年日本銀行法はこれに適切に対応することがむずかしくなり、同法改正の気運が高まった。
1997年(平成9)6月、新しい日本銀行法(改正日本銀行法)が制定され、翌1998年4月新法の施行により新しい日本銀行は「独立性と透明性」を確保し、物価の安定と金融システムの安定を目ざして発足、新日本銀行の歩みが開始された。[石田定夫]
中央銀行の第一の性格は、銀行券の独占的発行である。中央銀行の設立前には個々の銀行が銀行券を発行していたが、中央銀行の設立とともにその発券機能は中央銀行に集中され、中央銀行と預金銀行の分化が進んだ。現在では各国とも銀行券は無制限強制通用力をもつ法貨である。金本位制時代には、中央銀行は銀行券発行高と金保有高との関係を一定に保つように義務づけられていた。管理通貨制の現在、こうした義務づけは消滅したが、銀行券の濫発に歯止めをかける仕組みが設けられた。銀行券発行制度または発券制度とは、中央銀行の銀行券発行限度を規定した法律的取決めのことをいう。これは、どの程度の金準備(正貨準備)を置くか、金準備以外の準備資産(保証準備)を引当てとして、どの程度伸縮的に銀行券の発行を認めるかによって、種々の形態に分かれる。金本位制を離れた後は、多くの国は最高発行額屈伸制限制度をとっていたが、ドイツのブンデスバンク法(1957年制定)および改正日本銀行法では銀行券の発行限度と発行保証の規定は廃止されている。[石田定夫]
中央銀行は、通常は企業や個人とは直接取引をせず、もっぱら市中金融機関と預金、貸出、債券売買、外国為替(かわせ)の売買などの取引を行っている。中央銀行が銀行から受け入れる預金は、銀行にとっては最終的な支払準備である。先の銀行券の発行は、銀行が中央銀行預金を引き出すことによって行われる。そして預金が不足するときには、中央銀行は貸出あるいは国債等の買いオペレーションによってそれを補填(ほてん)する。中央銀行は銀行に対する「最後の貸し手」として信用秩序の維持(金融システムの安定)のために、金融機関の一時的な流動性不足に対処して緊急貸出を行う。外国為替の売買には、中央銀行が自己の勘定で銀行と行っている場合(ドイツなど)と、中央銀行が政府の代理人としてその業務を行っている場合(日本など)とがある。これは公的外貨準備の保有が中央銀行か政府かの制度上の相違による。多くの国の中央銀行が外貨準備の主要部分を保有しているのは金本位制以来の伝統によるものである。[石田定夫]
どこの国の中央銀行もその設立の経緯から政府の預金を優先的に受け入れ、また政府の一時的資金不足に対して貸出を行っている。また政府のために国債の発行・償還・利払いの事務を扱っている。なお、中央銀行による新規発行の国債の直接引受けは、多くの国では法律(日本では財政法第5条、日本銀行法第34条)によって禁止されている。なぜならば、中央銀行がいったん国債を引き受け政府へ資金供給を始めると、政府の財政節度は失われ、中央銀行の通貨増発に歯止めがかからなくなり、インフレ発生の懸念が強まるからである。[石田定夫]
日本銀行法において金融政策のことは「通貨及び金融の調節」として表示される。中央銀行の通貨および金融の調節手段、すなわち金融政策手段として金利政策(割引政策)、公開市場操作、支払準備率操作がある。その発展の経過をみると、商業手形の割引が中央銀行の伝統的な信用供与方式であったことから、その割引歩合の操作、すなわち割引政策が主要政策手段であった。その後、財政の比重が高まり国債残高が増大し金融市場が発達するにつれて、公開市場操作(オープン・マーケット・オペレーション)が割引政策にかわって重要な政策手段となった。ついで金融機関の流動性が増加するに伴って、支払準備率操作が用いられるようになった。金融システムが高度に発達した先進諸国(日本も含む)では中央銀行はこうした政策諸手段、とくに公開市場操作を機動的に活用し、取引先金融機関との間の日常の業務を通して金融を調整し、政策効果の波及・浸透を図っている。[石田定夫]
日本銀行法において日本銀行の目的として「物価安定」と並んで「信用秩序の維持」があげられている(第1条)。信用秩序の維持は現代風にいえば「金融システムの安定」である。通貨が本来の機能を発揮できるのは、通貨の価値(物価)が安定していることと、通貨の流通、資金の貸借・決済が円滑に行われる社会全体の場(金融システム)が整えられていることが、ともに不可欠である。そこでは各種の金融機関、金融市場が発達し整然としたシステムが形成されており、その全体像が信用秩序あるいは金融システムである。こうした信用秩序の維持、同義語であるが金融システムの安定を図ることも、「銀行の銀行」「最後の貸し手」としての中央銀行の任務であり、物価安定を目的とする金融政策と区分して「プルーデンス政策」とよばれる。プルーデンスとは「金融危機に対して慎重に思慮深く行動する」という語訳からきている(呉文二ほか著『金融読本』の「第8章 信用秩序維持政策」)。
金融危機にはさまざまなケースがあるが、金融機関の破綻(はたん)が金融システム全体の問題に波及するおそれがあるとみられるとき、中央銀行は「最後の貸し手」としてその救済にあたることになる。これは当該金融機関の個別的な救済問題を超えて金融システム全体の安定性確保にかかわる問題である。ただ中央銀行の行動は流動性の供給であり、資本の供給ではない。金融機関の損失補填には資本の供給が必要であるが、これは中央銀行の信用供与でなく公的資金(財政資金)の出動によるべきである。プルーデンス政策の実施には政府と中央銀行の協力が必要である。[石田定夫]
中央銀行は公共的性格が強いことから、たいていの国において資本金について全額(イングランド銀行、フランス銀行など)あるいは半額(ベルギー国民銀行、日本銀行など)政府出資によっている。また政策など重要事項を決定する役員会やその構成は、国によって異なるが、正副総裁などのトップ役員の任命は政府によって行われている。日本銀行の場合、政策委員会が最高意思決定機関であり、総裁・副総裁2人・審議委員6人の計9人で構成される。いずれも、両議院の同意を経て内閣が任命する。任期は5年。執行役員は正副総裁のほか監事3人以内、理事6人以内が置かれる。理事は、政策委員会の推薦に基づき財務大臣が任命する。政策委員会のメンバーは身分保障が確保されている。[石田定夫]
政府と中央銀行の間では、財政からの要求を金融政策がいかに受け止めるかという点について、政策上の対立が生ずることがある。こうした場合、政府と中央銀行の関係について中央銀行法では、金融政策の中立性を確保するため、従来から中央銀行の政策決定に政府からの独立性を与えている国(アメリカ、ドイツなど)と、1980~1990年代以降の金融のグローバリゼーション(国際的連係化)に伴って中央銀行に独立性を付与する国(イギリス、フランス、日本)とがある。日本銀行の場合、改正日本銀行法において金融政策の自主性(独立性と同義)は尊重されなければならない、とうたわれている。また日本銀行は金融政策の内容および過程を国民に明らかにするよう努めなければならないとある(第3条)。日本銀行は金融政策についての独立性を与えられた半面、自ら決定した金融政策についての説明責任を義務づけられることになった。また日本銀行法は、日本銀行の金融政策は政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、つねに政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない(第4条)とある。
いずれにしても、中央銀行の最高の任務は、インフレから国民を守り通貨価値の安定を確保することにあるから、これを原点として通貨および金融の調節についての運営を誤ってはならない。[石田定夫]
✱ 以上、日本大百科全書(ニッポニカ)の「中央銀行」からの魚拓
此れから暫くは、凡そ50年程前の米国の状況である。
当時米国には13,500の商業銀行が存在したが、もし支店を入れたら其の数はもっと多くなって居た。単純化の為に、此の時の全商業銀行の貸借対照表を造ってみる ⇨総ての銀行を巨大な独占的銀行の支店に過ぎない様に考える。米国経済に於ける全商業銀行の統合貸借対照表は、特殊なものを除外すれば、👇の「全商業銀行の統合貸借対照表①」の様に成る。総ての商業銀行が連邦準備銀行の加盟銀行であったとすれば(実際は全銀行の約半数だけがそうであったが、加盟して無い銀行は小規模で在った)其れ等総てが「支払準備(R)」の保有を要求されることに成って居た。
銀行は、保有している鋳貨と紙幣及び連邦準備銀行への「要求支払預金」を「支払準備」として勘定に入れることが出来る。此の場合、統合貸借対照表は👆の②表の様に示される。
銀行が保有しなければ成らない「支払準備」というのは、其の銀行の「法定支払準備(RR)」である。「法定支払準備(RR)」は「要求支払金債務(D)」の一部分である。
「支払準備」をrで表わせば、「法定支払準備」は次の等式によって定義される。
RR=rD
商業銀行が全体として1,000億$の「要求払預金(D)」債務を持ち「支払準備率」が15%とすれば ⇨少なくとも150億$以上の準備を持って居れば ⇨「超過準備(ER)」を確保して居ることに成る。
超過準備(ER)=支払準備(R)-法定支払い準備(RR)
銀行は屡「超過準備」を保有するが、此れは通常「不均衡」の証拠と成る。商業銀行の主要な収入源 ⇨貸出しや証券保有から得られる利子である。銀行は其の「支払準備」部分からは利子を取得し無いが、彼等が「超過準備」を持って居れば ⇨より多くの証券購入取得や多くの貸出しが可能 ⇨より多くの利子を取得可能と成る。
「超過準備」が与件とすると ⇨銀行が収益資産を何れだけ増加させ得るかは限界が存在☜ 銀行は一集団として貸し出しや証券購入を行うとき 、一般に、何ら其の「支払準備」を消失し無い ⇨にも拘らず、此れ等の活動は「超過準備」を消失させる ☜其の活動は新しい「要求払預金」の創出を齎す ☜商業銀行組織が証券を買ったり、新たな貸し出しをしたときは如何なる場合でも販売者か、叉は借手との「小切手預金」が増大して、「要求払預金」が増大する。
或る銀行が10$の新たな貸出しを行った⇒銀行は10$多く債権を持つことに成る⇒銀行の資産は10$だけ増加する⇒貸出額は借り手勘定の貸方に記入されるから⇒其の貸出しに対する銀行の負債が10$だけ増加する。
商業銀行の統合貸借対照表は👇の様に成る。
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「支払準備」は変化して無いが「要求払預金」債務は変化した。
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「法定支払準備」は「要求払預金」の一部である
⇩
貸出しが「法定支払準備」を増加
(現実の「支払準備」は変わって無い)
⇩
「超過準備」が減少したことに成る。
銀行は超過準備を保有する時、証券購入を増加するか或いは、貸出しを増加させると結論出来る ⇨此の活動は、彼等の「要求払預金」債務を増加させる ⇨彼等の「法定支払準備」を増加させる。
「商業銀行組織は『超過準備』が消滅した時にのみ均衡する。」
商業銀行の均衡条件を示す式 ER =0
👆の3式を同時に解けば、商業銀行の「要求払預金債務」、「支払準備」及び[支払準備率]の間に1つの均衡関係が得られる。
D=R/r
総ての商業銀行の統合貸借対照表(②図)は1つの式と看做され得る。「資産総額」=「負債の総額」+「純財産」と成る。此の式を貸し出しと証券について解くと、
LS=D+IF+OL+NW-OA-R
👇の分析に於いて、商業銀行の他の資産、他の負債及び純財産に関心を持た無いで、此れ等の項目を除外すれば、議論を単純化出来る👇
LS=D+IF+OL+NW-OA-R ⇨LS=D+IF-R
D=R/rをLS=D+IF-Rに代入すると、
LS={(1-r)/r}R+IF
商業銀行によって為された貸出しと購入された証券の総量は、特殊な様式で彼等の「支払準備」、「支払準備率」及び「支払準備制度」への債務に依存している。此の関係は、「連邦中央均衡が度の様に『利子率』や『信用の利用可能性』を変更しう得るかを学ぶ」とき、非常に有用と成る。
(今回は常にも増して何回も読み直すか、図解して理解を進めれば必ず会得出来る)。
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