伊藤 戦争によって帰国の領土を保全してあげたことは事実と認めざるを得ないことであろうが、その間何かと帰国にも負担をかけたが、其れは仕方のないこととして、わが国の苦難を思えば文句を言われる筋合いのことではない。韓国の領土は我等の犠牲があったればこそ護られたのだから。これから先も安心してお互いに国を平和に存続していかんと思うならば、両国間は緊密な関係を結んで連携していかなければならないのだ。其れを実現させるには、何よりも貴国の外交関係を、貴国が委任した上で、我が方に実行させるが最善と考える。
韓王 対外関係委任の件に関しては、委任せずとは言わないまでも、凡そその形式が問題で、こと内容については協定を結ぶことに異議は無い。
伊藤 形式とは如何なる意味であるか。
韓王 使臣の行き来を如何するかのごときことである。
伊藤 貴国の外交を現状のままにしておいては、東洋は禍乱に巻き込まれる。我等はあらゆることを考えて最善の方策を案じて来たのだ。此案は頑として動かせないものである。博文はその案を書き写したものを携え持ち来ている。先ずは陛下は御覧になって頂きたい。
韓王 朕の切実なる希望を貴国の皇室及び政府に嘆願すれば、多少の変更が何とかならぬものだろうか?
伊藤 本案は既にわが国で確定議決されたものなので、少しなりとも変えられぬ。何事も陛下の御決心次第である。受けるか否かは御随だが、もし拒否すれば、更に不利なることにもなろうが、其れを覚悟して返答されたい。
韓王 ことは重大事に関することである。朕一人で採決出来るものではない。朕が政府臣僚に諮詢し、又一般人民の意向にも配慮しなければならない。
伊藤 陛下が政府臣僚に諮詢されることは尤もなことである。しかしながら一般人民の意向にも配慮するとは聞き捨てならない。何となれば貴国には憲法なんてあるべくも無く、総てのことは陛下の裁可で決まる、貴国は所謂君主専制国である。其れにも拘らず人民の意向を聞いて見なければなぞと言うこと自体、自民を煽動し、日本の提案に反抗せんとの御思召ありと察しられる。昨今儒生輩を煽動し、秘密裡に反対運動をなさしめつつあるとの情報は、既に我が軍隊の察知しているところである。
韓王 いやいやそんな考えは毛頭無く、更に人民の意向など訊こうと言ったものではないのだ。
伊藤 時に猶予はないので、陛下は今夜外部大臣をお召しになり、林公使の提案に基づき直ちに協議を纏め、調印の運びに取れ計らうべき勅令を下し置かれたい。
伊藤と韓王のやり取りは、協議なんてもんではないことは明々白々なのだが、あえて日本側の弁明をすれば、此れまでは幾度も韓王族及びその政府には悩まされ、ある程度、脅迫めいたことをしないで甘いところを見せれば、此会見は失敗に終わってしまうと伊藤が考えたぎりぎりの上のことだったのだ。もし、失敗すれば東亜に必ず禍乱が起こり、露スケが息を吹返せば半島の命運は風前に置かれてしまうのだ。
伊藤の性格は温情深く清潔でことの是非を冷厳に見極めることの出来るものである。決して、韓国を虐げるなど考慮に入れない人柄なのである。日本はこの時露スケに勝って戦勝気分で浮かれていたのはことの事情を十分把握していない者である。二百三高地では野木将軍率いる多くの将兵が亡くなり、日本兵の犠牲者は多く出て、今更に戦争などは出来ない状態であったのだ。露スケの南下で半島は危ういところで、日本に救われていたのだ。更に日本は此戦争で莫大な戦費を消費し尽くし、これ以上戦闘を続けることは出来ない事情もあったのだが、露スケが講和を乞うて来たのは勿怪の幸いだったのだ。詰まり、日本もこの会見はぎりぎりの状態でなされたものと言わねばならない。
このときの韓国王国の惨めさは如何ばかりであったかは、想像に難くない。日本とて、明治維新を為しての近代化が遅れしれば、毛唐列強に彼のごとき独立をも脅かされる結果となったのだ。毛唐列強が昂じて日本の近代化と軍国化は跳躍進展為されたものだったのだ。日本はこのとき、半島を日本を守る防波堤とせんとするには、如何しても韓国の保護国化を為さんとしたのだ。日本はそれ迄幾度も韓国に、国家間の強い同盟関係を築くように促して来たが、韓国王の閔妃率いる外戚は既得の利権を守るばかりか、あわよくば国政の実権を握り、閔氏一族の権勢を磐石なものにせんと謀策し、幾度と無く日本の誘いを妨害して来たのだ。一般の半島人は王族内の権謀術策の経緯なぞ知るべくもなく、韓国王妃を殺した日本の賊を、事情も知らずに憐れにも憎むばかりであったのだ。
閔氏と言う氏姓からすれば、半島以外の何処かから来た者達の姓と認めらるのに、民衆はあの暴挙以来ついぞ日本に反感を持ったのだ。そもそも李姓とて今となれば韓国を代表する姓となっているが、李性は元々大陸の漢族以外の民族に良く使われた姓である。李王国は元々満人系の宗祖が造った国である。
ところで日本の皇族には朝鮮人の血が戦前に入っている。此ことを知る者は何故か少ないのだ。
続 く
韓王 対外関係委任の件に関しては、委任せずとは言わないまでも、凡そその形式が問題で、こと内容については協定を結ぶことに異議は無い。
伊藤 形式とは如何なる意味であるか。
韓王 使臣の行き来を如何するかのごときことである。
伊藤 貴国の外交を現状のままにしておいては、東洋は禍乱に巻き込まれる。我等はあらゆることを考えて最善の方策を案じて来たのだ。此案は頑として動かせないものである。博文はその案を書き写したものを携え持ち来ている。先ずは陛下は御覧になって頂きたい。
韓王 朕の切実なる希望を貴国の皇室及び政府に嘆願すれば、多少の変更が何とかならぬものだろうか?
伊藤 本案は既にわが国で確定議決されたものなので、少しなりとも変えられぬ。何事も陛下の御決心次第である。受けるか否かは御随だが、もし拒否すれば、更に不利なることにもなろうが、其れを覚悟して返答されたい。
韓王 ことは重大事に関することである。朕一人で採決出来るものではない。朕が政府臣僚に諮詢し、又一般人民の意向にも配慮しなければならない。
伊藤 陛下が政府臣僚に諮詢されることは尤もなことである。しかしながら一般人民の意向にも配慮するとは聞き捨てならない。何となれば貴国には憲法なんてあるべくも無く、総てのことは陛下の裁可で決まる、貴国は所謂君主専制国である。其れにも拘らず人民の意向を聞いて見なければなぞと言うこと自体、自民を煽動し、日本の提案に反抗せんとの御思召ありと察しられる。昨今儒生輩を煽動し、秘密裡に反対運動をなさしめつつあるとの情報は、既に我が軍隊の察知しているところである。
韓王 いやいやそんな考えは毛頭無く、更に人民の意向など訊こうと言ったものではないのだ。
伊藤 時に猶予はないので、陛下は今夜外部大臣をお召しになり、林公使の提案に基づき直ちに協議を纏め、調印の運びに取れ計らうべき勅令を下し置かれたい。
伊藤と韓王のやり取りは、協議なんてもんではないことは明々白々なのだが、あえて日本側の弁明をすれば、此れまでは幾度も韓王族及びその政府には悩まされ、ある程度、脅迫めいたことをしないで甘いところを見せれば、此会見は失敗に終わってしまうと伊藤が考えたぎりぎりの上のことだったのだ。もし、失敗すれば東亜に必ず禍乱が起こり、露スケが息を吹返せば半島の命運は風前に置かれてしまうのだ。
伊藤の性格は温情深く清潔でことの是非を冷厳に見極めることの出来るものである。決して、韓国を虐げるなど考慮に入れない人柄なのである。日本はこの時露スケに勝って戦勝気分で浮かれていたのはことの事情を十分把握していない者である。二百三高地では野木将軍率いる多くの将兵が亡くなり、日本兵の犠牲者は多く出て、今更に戦争などは出来ない状態であったのだ。露スケの南下で半島は危ういところで、日本に救われていたのだ。更に日本は此戦争で莫大な戦費を消費し尽くし、これ以上戦闘を続けることは出来ない事情もあったのだが、露スケが講和を乞うて来たのは勿怪の幸いだったのだ。詰まり、日本もこの会見はぎりぎりの状態でなされたものと言わねばならない。
このときの韓国王国の惨めさは如何ばかりであったかは、想像に難くない。日本とて、明治維新を為しての近代化が遅れしれば、毛唐列強に彼のごとき独立をも脅かされる結果となったのだ。毛唐列強が昂じて日本の近代化と軍国化は跳躍進展為されたものだったのだ。日本はこのとき、半島を日本を守る防波堤とせんとするには、如何しても韓国の保護国化を為さんとしたのだ。日本はそれ迄幾度も韓国に、国家間の強い同盟関係を築くように促して来たが、韓国王の閔妃率いる外戚は既得の利権を守るばかりか、あわよくば国政の実権を握り、閔氏一族の権勢を磐石なものにせんと謀策し、幾度と無く日本の誘いを妨害して来たのだ。一般の半島人は王族内の権謀術策の経緯なぞ知るべくもなく、韓国王妃を殺した日本の賊を、事情も知らずに憐れにも憎むばかりであったのだ。
閔氏と言う氏姓からすれば、半島以外の何処かから来た者達の姓と認めらるのに、民衆はあの暴挙以来ついぞ日本に反感を持ったのだ。そもそも李姓とて今となれば韓国を代表する姓となっているが、李性は元々大陸の漢族以外の民族に良く使われた姓である。李王国は元々満人系の宗祖が造った国である。
ところで日本の皇族には朝鮮人の血が戦前に入っている。此ことを知る者は何故か少ないのだ。
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