「会計年度独立の原則」と「予算単年度主義」は、孰れも国や地方公共団体の予算に関する重要な原則だが、屡混同される。
或る地方公共団体で、「会計年度独立の原則とは、一会計年度に於ける歳入歳出は、他の年度に跨って行われては成らないという予算に関する大原則である。此の原則を貫き通すと、却って不利、不経済となる等実情に即し無い場合も在る為、財政の効率的運用を図る目的から、継続費の逓次繰越、繰越明許費、事故繰越等の例外措置が認められて居る。」という文書が在った。此れは、「会計年度独立の原則」と「予算単年度主義」とを混同した間違い。
更に、或る県のホームページに、「予算は『予算の会計年度独立の原則』により、一会計年度の予算はその年度内に執行し完結することを原則とします。」と記載が在ったが、此れも👆の事例同様の間違い。
地方自治法の関係条文
(会計年度及びその独立の原則)
第208条 普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
2 各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。
(予算の調製及び議決)
第211条 普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市にあつては三十日、その他の市及び町村にあつては二十日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない。
2 普通地方公共団体の長は、予算を議会に提出するときは、政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない。
(支出負担行為)
第232条の3 普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。
「『会計年度独立の原則とは、法第208条第2項に規定される原則で、各年度に支出すべき経費の財源は、その年度における収入によって調達すべきこと』をいい、此の原則は、支出に関する契約が年度を跨ぐこと等を格別に禁止して無い。」
「『予算単年度主義(の原則)は、法第211条第1項、第232条の3等により、予算は年度ごとに作成し、翌年度以降の予算を拘束してはならない』とする原則で、予算の効力を会計年度内に限定し、それを超える支出負担行為を禁ずるものである。」
継続費や債務負担行為は、会計年度独立の原則には抵触しないので、その例外とはされませんが、予算単年度主義には抵触するので、その例外とされる。
逆に、過年度支出、過年度収入、歳出予算の繰越等は、予算単年度主義には抵触し無いが、会計年度独立の原則には抵触するので、その例外とされています。
会計年度独立の原則は、民間の企業会計でも、継続企業の公準や費用収益対応の原則等として尊重されるが、予算単年度主義のは、民間では関係無いので、年度を跨ぐ契約等も支障無く結ばれている。
以上の原則と主義は大にして混同されて誤用されている。
以上両者とも、苦肉の策としての例外を設けて居るが、抑々、重要であるから原則なので、此れを公事業等の多年度契約に真向から例外を設けるべきでは無い。其れが抑々、両者を混同する元と成り、逆に基本の法体系を崩すことに成る。
多年度契約等を例外で認める必要性は本当に在るとしてるが、在るとしても、官民癒着や変化の激しい社会情勢の中で、被発注側の企業の経営体力衰退他の工事担当能力減退等は日々変化するものであることからすれば、以上の様な例外を設けることは、最善とは言え無い。
✱ 寧ろ、「随意契約」を活用した方がすっきりするのでは?出来ればの話であるが、現状出来なければ、会計法等関連法を一部改正すれば出来よう。
(瑞契約参考)
財政法>>http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO034.html … 財政法第九条 国の財産は、法律に基く場合を除く外、これを交換しその他支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し若しくは貸し付けてはならない。 【森友学園の随意契約は法律違反か? (会計法編)】 其の➀ 以上参照必至。 詰まり . . . 本文を読む
✱ 会計法は、元々国家機関に適用される法だが、自治体の会計処理も此の法を指針として決められる。
其の外、此のブログの右上の検索機能を使えば随意契約について書かれた投稿は幾つも出て来る。
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