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【民事訴訟法 訴終了 終局判決③】 ノート形式

2014-10-21 21:44:56 | 民事訴訟法
〔判決効の客観的範囲〕(=既判力)

拘束される判決内容の範囲


(1)訴訟物による限定
(既判力の範囲)第百十四条  確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
2  相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。

〇既判力は、本案判決に在っては請求の内容となっている権利乃至法律関係の存否について生じる。
「訴訟判決論」にあっては、問題とされた個々の訴訟要件欠缺につき既判力が作用する。

①信義則による補完定理
 後訴の提起自体が実質的に前訴の蒸し返しと観られる場合には、後訴の訴えは不適法と看做される(訴え却下の例 最判昭和51年9月30日民集30・8・799〔188〕)。

 相手方の限定承認を前提とする確定判決を得た債権者が其の後、前訴の基準時前に存在していた法定単純承認を理由に無留保の判決をすることは限定承認判決の蒸し返しと成る為、原則として既判力に準ずる効力に抵触し不適法とされる(最判昭和49年4月26日民集28・3・503〔189〕)。

②判決理由中の判断の拘束力
 判決理由中の事実認定や法律判断等の判断には拘束力は原則として認められ無い。

(例)土地所有権に基づく建物収去明渡請求訴訟
 原告勝訴の判決確定
  土地所有権については既判力は生じ無い。
(中間確認の訴え)第百四十五条  裁判が訴訟の進行中に争いとなっている法律関係の成立又は不成立に係るときは、当事者は、請求を拡張して、その法律関係の確認の判決を求めることができる。ただし、その確認の請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するときは、この限りでない。

〇法の認める唯一の例外
(既判力の範囲)第百十四条  
2  相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。
✻ 訴訟外での相殺権行使による消滅の抗弁とは一切関係無い。

②争点効
既判力~当事者の援用は必要とされず職権調査事項とされる。

争点効~信義則が発達した一種の制度効⇒制度的拘束力
既判力とは違い当事者の援用が必要と成る。

 相手方は前訴での判断とは異なる主張や立証が赦されず後訴裁判所に於いて矛盾する判断が禁止される効力を言う(前訴で当事者が主要な争点として争い、且、裁判所が此れを実質的に審理して下した判断について認められる)。
 (例)
X→Y : 買受を理由に建物の明渡訴訟を提起
Y→X : 売買の詐欺による取消を主張
裁判所 : X勝訴の判決
Y→X : 売買の詐欺による取消を主張⇒名義の登記抹消を請求
裁判所 : 詐欺による取消を認め無い
(最判昭和44年6月24日判時569・48〔190〕)。

(2)基準時による限定
事実新の口頭弁論終結時

基準事後に事情が変更した場合
 変更を前提とする後訴の請求が前訴の既判力によって妨げられ無いこともある(最判昭和61年7月29日判時1938・69〔33〕)。
(定期金による賠償を命じた確定判決の変更を求める訴え)
第百十七条  口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命じた確定判決について、口頭弁論終結後に、後遺障害の程度、賃金水準その他の損害額の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じた場合には、その判決の変更を求める訴えを提起することができる。ただし、その訴えの提起の日以後に支払期限が到来する定期金に係る部分に限る。
2  前項の訴えは、第一審裁判所の管轄に専属する。

②基準時の形成権の基準事後の行使
取消権・解除権・相殺権・建物買取請求権・白紙手形補充権等~基準時に存在していた形成権

詐欺取消権(最判昭和55年10月23日民集34・5・747〔192〕)
白紙手形取消権(最判昭和57年3月30日民集36・3・501〔193〕)。
以上、2例基準事後行使を認め無い。

相殺権(最判昭和40年4月2日19・3・539〔194〕)
建物買取請求権(最判平成7年12月15日民集49・10・305〔195〕、東京高判昭和53年7月26日高民集31・3・484)。
以上、3例認めて居る。


続く

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