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【民事訴訟法 訴終了 終局判決④】 ノート形式

2014-10-22 13:51:41 | 民事訴訟法
〔判決効の主観的範囲〕


[判決効の相対性の原則]


〇主観的範囲~判決効の人的に及ぶ範囲

 今日の民事訴訟~実態を反映し無い不当な判決の余地がある。
 ←当事者の処分主義や弁論主義を前提としている故


〇既判力~先ず、当事者に及ぶ。訴訟追行の手続き保障を与えられて居無い第三者には判決の効力は及ば無い(相対性の原則、ゴルフ場の営業譲渡が確定判決前に為されて事案で、譲渡人に対する確定判決は譲受人には拡張され無い、最判平成16年10月18日全法1743・10)。


〇実質的には当事者と見て良い第三者
 口頭弁論終結後の承継人(包括承継人・特定承継人、最判昭和48年6月21日民集27・6・712〔196〕)。
 請求の目的物の所持人(大阪高判昭和46年4月8日判時633・73〔197〕)。

(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)第百十五条  確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
三  前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四  前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)第百十五条  
二  当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人

執行力の主観的範囲
(強制執行をすることができる者の範囲)
第二十三条  
2  執行証書による強制執行は、執行証書に表示された当事者又は執行証書作成後のその承継人に対し、若しくはこれらの者のためにすることができる。
3  第一項に規定する債務名義による強制執行は、同項各号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者に対しても、することができる。

(執行文の付与)第二十七条  
2  債務名義に表示された当事者以外の者を債権者又は債務者とする執行文は、その者に対し、又はその者のために強制執行をすることができることが裁判所書記官若しくは公証人に明白であるとき、又は債権者がそのことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。

(執行文付与の訴え)
第三十三条  第二十七条第一項又は第二項に規定する文書の提出をすることができないときは、債権者は、執行文(同条第三項の規定により付与されるものを除く。)の付与を求めるために、執行文付与の訴えを提起することができる。
2  前項の訴えは、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所が管轄する。
一  第二十二条第一号から第三号まで、第六号又は第六号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち次号及び第六号に掲げるもの以外のもの

     第一審裁判所

一の二  第二十二条第三号の二に掲げる債務名義並びに同条第七号に掲げる債務名義のうち損害賠償命令並びに損害賠償命令事件に関する手続における和解及び請求の認諾に係るもの 損害賠償命令事件が係属していた地方裁判所
二  第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち次号に掲げるもの以外のもの
     仮執行の宣言を付した支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所(仮執行の宣言を付した支払督促に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)
三  第二十二条第四号に掲げる債務名義のうち民事訴訟法第百三十二条の十第一項 本文の規定による支払督促の申立て又は同法第四百二条第一項 に規定する方式により記載された書面をもつてされた支払督促の申立てによるもの
     当該支払督促の申立てについて同法第三百九十八条 (同法第四百二条第二項 において準用する場合を含む。)の規定により訴えの提起があつたものとみなされる裁判所
四  第二十二条第四号の二に掲げる債務名義
     同号の処分をした裁判所書記官の所属する裁判所
五  第二十二条第五号に掲げる債務名義
     債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所(この普通裁判籍がないときは、請求の目的又は差し押さえることができる債務者の財産の所在地を管轄する裁判所)
六  第二十二条第七号に掲げる債務名義のうち和解若しくは調停(上級裁判所において成立した和解及び調停を除く。)又は労働審判に係るもの(第一号の二に掲げるものを除く。)
     和解若しくは調停が成立した簡易裁判所、地方裁判所若しくは家庭裁判所(簡易裁判所において成立した和解又は調停に係る請求が簡易裁判所の管轄に属しないものであるときは、その簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所)又は労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所

(執行文の付与等に関する異議の申立て)第三十二条  執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
2  執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
3  第一項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
4  前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
5  前各項の規定は、第二十八条第二項の規定による少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本の交付について準用する。
(執行文付与に対する異議の訴え)第三十四条  第二十七条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
2  異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。
3  前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。


法人格否認の法理~既判力や執行力の主観的範囲に適用され無い(最判昭和53年9月14日判時906・88〔198〕)。
⇒学説上は論議がある。



(2)反射効
 当事者と依存関係にある第三者に対して反射的に有利又は不利な影響を及ぼす場合が在るのでは無いかとの議論がある。

ex.主債務者に対する貸金返還請求訴訟の判決力は保証人には及ば無い。主債務者が勝訴した場合、保証債務利付随性から保証債務の履行を求める後訴に於いて主債務勝訴の確定判決を保証人は援用出来る。
(判例)主債務者勝訴の確定判決(最判昭和51年10月21日民集30・9・903〔199〕)。
 共同行為者の一人がした相殺を認める確定判決(最判昭和53年3月23日判時886・35〔200〕)。
 ✻上記判例は何れも消極的である。

(3)対世効
 相対効の例外として、広く第三者に判決効が及ぶ場合。
 此れ等の第三者が訴訟に参加したかは問わ無い。

〇明文の規定がある場合
(取消判決等の効力)第三十二条  処分又は裁決を取り消す判決は、第三者に対しても効力を有する。

(確定判決の効力が及ぶ者の範囲)第二十四条  人事訴訟の確定判決は、民事訴訟法第百十五条第一項の規定にかかわらず、第三者に対してもその効力を有する。

(認容判決の効力が及ぶ者の範囲)第八百三十八条  会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する。

 解釈論として許容される場合に争いがある(最判平成10年3月27日民集52・2・661〔取締役解任訴訟〕

  第三節 株式会社の役員の解任の訴え

(株式会社の役員の解任の訴え)第八百五十四条  役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
一  総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二  発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
2  公開会社でない株式会社における前項各号の規定の適用については、これらの規定中「六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する」とあるのは、「有する」とする。
3  第百八条第一項第九号に掲げる事項(取締役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第一項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。
4  第百八条第一項第九号に掲げる事項(監査役に関するものに限る。)についての定めがある種類の株式を発行している場合における第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「株主総会(第三百四十七条第二項の規定により読み替えて適用する第三百三十九条第一項の種類株主総会を含む。)」とする。

(被告)第八百五十五条  前条第一項の訴え(次条及び第九百三十七条第一項第一号ヌにおいて「株式会社の役員の解任の訴え」という。)については、当該株式会社及び前条第一項の役員を被告とする。)。

✻境界確定訴訟については此れを認めることに争いは無い。

 対世効が生じる場合~不利な判決が及ぶ第三者への手続きの保障
(利害関係人に対する訴訟係属の通知)第二十八条  裁判所は、人事に関する訴えが提起された場合における利害関係人であって、父が死亡した後に認知の訴えが提起された場合におけるその子その他の相当と認められるものとして最高裁判所規則で定めるものに対し、訴訟が係属したことを通知するものとする。ただし、訴訟記録上その利害関係人の氏名及び住所又は居所が判明している場合に限る。

 当事者適格の限定~充実した訴訟追行が期待出来る者に絞り込む⇒対世効を正当化。

続く。

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