◆◆【我「老子」の私見を綴る】◆◆貪損第七十五

貪損第七十五

民之飢、以其上食税之多。是以飢。民之難治、以其上之有爲。是以難治。民之輕死、以其上求生之厚。是以輕死。夫唯無以生爲者、是賢於貴生。

民の飢うるは、その上の税を食むことの多きをもってなり。ここをもって飢う。民の治め難きは、その上のなすことあるをもってなり。ここをもって治め難し。民の死を軽んずるは、その上の生を求むることの厚きをもってなり。ここをもって死を軽んず。それただ生をもってなすことなき者は、これ生を貴ぶより賢る。

人民が飢餓に陥る一因は、統治者が税金を馬鹿高くするからで、此れにより人民が飢餓に陥ることがある。人民が治め難いのは、統治者が強硬な統治の手法を妄りに為すからで、此れにより自ら統治し難くしてしまうのだ。人民が死んで行くのは、統治者が人民の生きる道を閉ざすからであり、此れにより人民は食う為なら死罪も恐れ無くなる。よって統治者は人民から簒奪搾取を止めて欲張らず作為を控えていれば人民を自然に治められるのだ。