産経ニュース魚拓
中国・欧州に追い抜かれた「おもてなし文化」…日本は西洋的マニュアル化サービス猿マネの愚、覚醒せよ
知られざるもう一つの“武器”
日本経済は、アベノミクス一の矢、二の矢で、永年のデフレ脱却の出口まで、やっとさしかかってきたところです。しかしながら、円高時代の海外脱出製造業の現地生産が本格稼働を始めており、円安を生かした輸出につながらず、逆にそれが輸入増となっており、さらに原発廃止による化石燃料輸入増が、貿易収支の赤字を拡大しています。
ここは、アべノミクス第三の矢と 公共投資の実効性が問われており、一方で思い切った法人減税施策でも打たない限り、製造業の海外展開に歯止めがかからない恐れもあります。従って、いたずらに製造業に頼ることなく、内需を高めることも重要となってまいります。
その秘策の一つとして、モノ作り以外に日本が世界に誇りうる「和風もてなし文化」を活用することを提言したいと思います。昨年の東京への五輪招致運動でも、滝川クリステルさんが身振り手振りをまじえての名スピーチで世界の耳目を集めましたが、これをもっともっと世界へ向けてアピールし、「国民全体の生み出すサービス力」で外貨を稼ぐ努力を本気に本格的に取り組むべきではないかと考える次第です。
欧米人にも、昔から「ホスピタリティ」というサービスがありますが、小筆の経験(海外でのお客の接待や日本観光案内)からみると、同じ歓待でも、和風のそれには、「心のこもった懇切丁寧さ」(彼らの表現を借りると、コオーディアリティ=心からの気持ち、真心=を感じるそうです)が込められていると言う点で、彼我に差を生んでいるものと確信されます。
江戸は世界最大級の「消費生活商品普及都市」だった
日本は「モノ作り大国」といわれて久しいですが、一方で中世にすでに全国統一市場を形成しており(織田信長の楽市楽座)、近世には、大衆的消費市場を形づくり、世界最先端の「商業国家」だったことを想起すべきでしょう。
中国・欧州に追い抜かれた「おもてなし文化」…日本は西洋的マニュアル化サービス猿マネの愚、覚醒せよ
知られざるもう一つの“武器”
日本経済は、アベノミクス一の矢、二の矢で、永年のデフレ脱却の出口まで、やっとさしかかってきたところです。しかしながら、円高時代の海外脱出製造業の現地生産が本格稼働を始めており、円安を生かした輸出につながらず、逆にそれが輸入増となっており、さらに原発廃止による化石燃料輸入増が、貿易収支の赤字を拡大しています。
ここは、アべノミクス第三の矢と 公共投資の実効性が問われており、一方で思い切った法人減税施策でも打たない限り、製造業の海外展開に歯止めがかからない恐れもあります。従って、いたずらに製造業に頼ることなく、内需を高めることも重要となってまいります。
その秘策の一つとして、モノ作り以外に日本が世界に誇りうる「和風もてなし文化」を活用することを提言したいと思います。昨年の東京への五輪招致運動でも、滝川クリステルさんが身振り手振りをまじえての名スピーチで世界の耳目を集めましたが、これをもっともっと世界へ向けてアピールし、「国民全体の生み出すサービス力」で外貨を稼ぐ努力を本気に本格的に取り組むべきではないかと考える次第です。
欧米人にも、昔から「ホスピタリティ」というサービスがありますが、小筆の経験(海外でのお客の接待や日本観光案内)からみると、同じ歓待でも、和風のそれには、「心のこもった懇切丁寧さ」(彼らの表現を借りると、コオーディアリティ=心からの気持ち、真心=を感じるそうです)が込められていると言う点で、彼我に差を生んでいるものと確信されます。
江戸は世界最大級の「消費生活商品普及都市」だった
日本は「モノ作り大国」といわれて久しいですが、一方で中世にすでに全国統一市場を形成しており(織田信長の楽市楽座)、近世には、大衆的消費市場を形づくり、世界最先端の「商業国家」だったことを想起すべきでしょう。
日本は西欧的セルフサービス店・ディスカウントセンターやコンビニ、ファストフード店などで外資系風のマニュアル化したサービスシステムを猿まねし、客の心の慰安とは無縁の「もてなし希薄化」が少なからず進行しつつあります。一方で、欧米やアジアなどで、「日本的なもてなし」が注目され、模倣されるという「逆転現象」が生じているのです。
たとえば、平成9年に倒産したヤオハンの一部を手にした中国資本は、従来からの販売員教育とサービス精神を徹底して踏襲することで、他の百貨店より業績を上げています。ユニクロのパリ店・NY店や上海店は、隅々にまで清掃が行き届いた清潔な店内に、整理整頓が行き届いて色彩感覚を生かした商品展示がなされ、陳列棚も見通し良く配置されるなど、まるで日本の店がそのまま移設されたように見え、若い店員が声を揃えて客に声をかけるのだそうです。
このままでは、日本の富は、ますます海外でしか蓄積されなくなってしまうように思われます。
東京五輪を待たず今すぐにでも
今諸外国の商業界や消費者が和風のもてなしを羨望のまなざしで注目し、吸収していこうとしていることに、日本人が国ごと覚醒しなければいけません。茶の湯や生け花から、書画骨董、造園、建築、料理、芸能、ファッションまで、身分階層を横断する「大衆共有のもてなし文化」の心のふるさとに思いを致し、美意識の源泉をたどることで、もっと世界の多くの人々に観光や事業機会を求めて、日本へお越しいただく-。これこそ、救国の秘策であると確信します。
グローバル経済が加速化されるにつけ、人々が対立的競争に心底疲れ果て、人と自然の融合を探り、そこに人と人が心を癒しあう理想郷を、日本が「和のもてなし文化」によって提供できる大きなチャンスがそこにあります。東京五輪を待つまでもなく、今すぐにでも一人でも多くの日本人が意識を高めて取り組んでほしいと思います。
もっと上手に海外へアピールを
アジアにおける日本には、まだほかにも魅力がいっぱいあると自信を持つべきです。
最先端の科学技術力、伝統職人工芸伝来の製造ノウハウ、品質力、勤勉さと高い知的レベルに根ざしたチームワークを生む労務管理、安全安心社会、アジアで先行先導してきた市場経済と民主主義…。総じて「豊かな社会文化システムと、知的総合資産」をさらに、諸外国へ向けて、もっと上手にPRして行くことが肝要です。
その第一歩として、世界主要都市に「日本文化センター」を創設することを提案します。フランスやアメリカ文化センターが、日本の10倍もの観光客を毎年呼び込んでいる大きな要因となっていることは、疑いの余地がありません。景気が上向きになりかけている今、観光立国、企業立国の視点から、もう一度自省し、熟考すべきときであると考えております。
(上田和男)
=随時掲載します
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