魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【物象化と階層化】

2020-03-18 21:24:29 | 日本国のあり方
   【物象化と階層化】

人間の形成する社会関係及び其処に参与する主体が、或る一定のメカニズムを介して恰もモノの様に立ち現れて来る現象を表す用語。一般に、物化Verdinglichung(ドイツ語)ないし物象化と呼ばれて居るものは、およそ次の三つのレベルに整理出来る。
 (1)人間其の物の物化。此れは人間が奴隷商品とか機械体系の一部として繰り込まれて居る様な事態を指す。
 (2)人間行動の物化。諸個人の自由意志では如何にも出来なく成って居る人の流れとか、群集化された人の動きとか、行動様式の習慣的固定化の様に、自己の行動が個々の人間ではコントロール出来無いという意味で物と看られる。
 (3)人間の能力の物化。人間の精神を物的に定在化させたものとして考えられている芸術作品や、投下労働価値説でいう商品価値等が此れに当たる。
 K・マルクスは『資本論』に於いて、人間と人間の共同的関係が物の性質の様に倒錯視されたり、人間と人間との共同的な関係が物と物との関係で在るかの様に倒錯視される現象を問題にした。人間と人間の関係といっても、其れは人間的対象活動に於ける協労関係であり、其れが或る屈折を経て物の性質や物と物との関係で在るかの様に仮現する事態を指す。此の様な事態が何故、又は如何にして生ずるかについてを歴史の法則性として把握するのがマルクスの物象化論である。[似田貝香門]
『廣松渉著『物象化論の構図』(1983・岩波書店) ▽K・マルクス著、向坂逸郎訳『資本論』(岩波文庫)』
[参照項目] | 資本論 | 疎外 | 物神性
歴史と階級意識
 ハンガリーのマルクス主義哲学者 G.ルカーチが 1923年に発表した書物。当時マルクス主義は硬直した素朴唯物論と教条主義に堕落しており,ルカーチはその弊害を「物像化」概念に注目しつヽマルクスをヘーゲル的に読直すことにより克服しようとした。商品という形で物が生産される資本主義社会に於いては,本来,人間と人間の関係である社会関係が物と物との関係として立現れ,其れが自立した制御出来無い力と成って人間に対立し,意識を規定する。だが商品生産を自らがに成って居るプロレタリアートは,自らの社会的存在を自覚することに依って此の搾取と欺瞞の構造に終止符を打ち,団結と革命的実践により歴史の新次元を開くことが出来るとする。此の書物は西洋マルクス主義に於ける疎外論と人間学への関心を開く端緒と成っただけで無く,実存主義や近代合理主義批判に対しても多大の影響を与えた。
※ 唯仏論〘哲〙 物質を根本的実在とし、精神や意識をも物質に還元してとらえる考え。
※ 実存主義〘哲〙 人間の実存を中心的関心とする思想。
※ ヘーゲル(1770~1831) ドイツ観念論を代表する哲学者。自己を否定・外化した上でその否定をさらに否定して自己に還帰する絶対者の自己展開の過程(弁証法)を構想。論理・自然・精神の三部門からなる体系により近代市民社会の疎外的現実を思弁的に克服しようとした。全体性・普遍性を重視するその傾向は理性の狡智の思想などに現れ、反発も招いたが、青年期の著作には実存主義を先取りする着想もある。著「精神現象学」「論理学」「エンチュクロペディー」ほか。
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典/ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 

 拙は、資本主義と間接民主制が、物象化☞人間に依る人間の家畜化、強いては固定化された階層化☞ワーキングプア経済の根源として観てる。此のことに付いては、以前も書いたが再度詳しく分析して書くことにしてる。

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