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【民事訴訟法 複雑な訴訟形態 複数当事者訴訟②】 ノート形式

2014-10-29 20:09:36 | 民事訴訟法
✻脱字誤変換については適当に読み替えて下さい。

(3)必要的共同訴訟(固有的〃・類似的〃)
〇「判決の合一確定の必要性」:必要的共同訴訟の場合は、各共同訴訟人への判決効が他の共同訴訟人にも及ぶ関係にあるので判決内容が区々成るのを防ぐ。
「訴訟共同の必要性」:訴訟資料の提出・訴訟手続きの進行等の「統一的な訴訟進行」が法律上要請される。
(必要的共同訴訟) 第四十条  訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。

〇判決効が上訴を必要とし無い共同訴訟人にも及ぶものと構成出来れば、全員を訴訟当事者として扱う必要は無い(類似的必要的共同訴訟につき、同旨、最判平成12年7月7日民集54・6・1767〔株主代表訴訟209〕、最判平成9年4月2日民集51・4・1673〔愛媛玉串料訴訟、210〕、上訴した共同訴訟人の一部の者の上訴取下は、其の者は上訴人で無く成る)。
(必要的共同訴訟) 第四十条
2  前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。

(必要的共同訴訟) 第四十条
3  第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
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通常、共同訴訟には当て嵌まら無い。

〇「必要的共同訴訟」:法的に要件の併合が要請されており一部判決は出来無い。
「固有必要的共同訴訟」:関係者全員が当事者として登場し無い限りは不適法
「類似必要的共同訴訟」:全員の登場必要無し

①「固有必要的共同訴訟」
会社法(被告) 第八百五十五条  前条第一項✻の訴え(次条及び第九百三十七条第一項第一号ヌにおいて「株式会社の役員の解任の訴え」という。)については、当該株式会社及び前条第一項の役員を被告とする。

✻会社法(株式会社の役員の解任の訴え) 第八百五十四条  役員(第三百二十九条第一項に規定する役員をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行に関し不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員を解任する旨の議案が株主総会において否決されたとき又は当該役員を解任する旨の株主総会の決議が第三百二十三条の規定によりその効力を生じないときは、次に掲げる株主は、当該株主総会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員の解任を請求することができる。
一  総株主(次に掲げる株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該役員を解任する旨の議案について議決権を行使することができない株主
ロ 当該請求に係る役員である株主
二  発行済株式(次に掲げる株主の有する株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主(次に掲げる株主を除く。)
イ 当該株式会社である株主
ロ 当該請求に係る役員である株主

(旧法下、会社のみを被告とする訴えは不適法とする。最判平成10年3月27日民集52・2・661)。
 身分関係の訴訟等についても同様
人身訴訟法(被告適格) 第十二条
2  人事に関する訴えであって当該訴えに係る身分関係の当事者以外の者が提起するものにおいては、特別の定めがある場合を除き、当該身分関係の当事者の双方を被告とし、その一方が死亡した後は、他の一方を被告とする。

〇対外的な入会権の確認訴訟
 (最判昭和41年11月25日民集20・9・1921〔211〕)。
 対内的には上記は当て嵌まら無い。
 (最判昭和58年2月8日判時1092・62〔212〕)。
✻然し、相手方当事者とすれば良い場合もある。
 相続人間の遺産確認訴訟(最判元年3月28日民集43・3・167〔213〕)。
・共同相続人間における相続欠格を巡る相続人の地位確認訴訟(最判平成11年11月9日民集53・8・142〔214〕)。
・可及的に個別訴訟を容認。⇒通例・判例
 入会団体の構成員が有する使用収益件に基づく妨害排除請求訴訟(最判昭和57年7月1日民集35・6・891〔215〕)。
・遺言確認訴訟(最判昭和56年9月11日民集35・6・1013)等。

〇近時の判例
 「足並みを揃えることに反対する者は相手方当事者とする訴えを適法とする。」
・入会権、「訴えに同調し無い構成員を被告に加える。」←構成員全員が訴訟当事者と成る形式
 第三者に対する入会権確認の訴えを提起(最判平成20年7月17日民集62・7・1994)⇒救済判例の色濃い→相当問題がある。

・管理所分権を基礎とする考え方
 管理処分権の共同行使が要請される場合、持分権や保存行為、不可分債権・債務等の個別に権利行使出来る実体権能が認められる場合は、個別訴訟(単独訴訟)の余地を広く認める。

・様々な訴訟上の政策的観点から一部の者の提訴が全体の利害を反映しているか如何かから結論を導く⇒広く、固有必要的共同訴訟の成立余地を認める。
 争わ無い者は除外しても良い。上告審での一部の当事者の脱漏が判明した場合にも裁判所の柔軟な裁量権を容認する。
✻実体法からの接近を踏まえつつ、訴訟政策的な考慮により修正するのが妥当?


②共同所有権関係と共同訴訟
・対内的争いは通常共同訴訟として扱い、対外的には固有必要的共同訴訟との傾向がある。
(例)共有権確認訴訟等は固有必要的共同訴訟(最判昭和16年10月7日民集25・7・885)。
(例)共有持分の確認訴訟や、此れに基づく妨害排除請求権等は個別訴訟と成る。
 三名以上の共有物分割請求訴訟~原被告問わず固有必要的共同訴訟となる。
(裁判による共有物の分割) 第二百五十八条  共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。

(最判昭和43年12月20日判時546・69〔216〕)。

◎「知的財産権の共有事案に絡む紛争」
〇「固有必要的共同訴訟」と解する判例群(最判昭和36年8月31日民集15・7・2040[実用新案出願拒絶査定に対する抗告審決取り消し訴訟]、最判平成7年3月7日民集49・3・944[実用新案権審決取消訴訟]、最判昭和55年1月18日判時956・50[実用新案権審決取消訴訟])。

〇保存行為であることを根拠に、個別訴訟を認める判例群(最判平成14年3月25日民集56・2・348[特許決定取消訴訟]、最判平成14年2月22日民集56・2・348[商標登録無効審決取消訴訟])。

〇共同開発等によって生じる知的財産権は少なく無い。
 適切な救済を確保する為には、基本的には可及的に個別訴訟を容認することが望ましい。


③類似的必要共同訴訟
 「株主総会決議取消訴訟」:提訴原告である株主、各自単独で当事者適格を持つ。
 判決効が第三者に及ぶ場合
(認容判決の効力が及ぶ者の範囲) 第八百三十八条  会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する。

 別訴であれ、同一手続きであれ、複数提起された同一事件について矛盾した判決は裂けられなければなら無い。 別訴の場合は事件の併合が必要と成る。
 上記提起の関係([上訴し無い者に掛る訴訟費用→上訴審判断し無い]最判14年10月15日判時1807・79)。
✻必要的共同訴訟であっても、自等の控訴期間を徒過した以上、他の共同訴訟人についての控訴期間であっても適法に公訴し得無い(名古屋金沢支判昭和63年10月31日判タ696・207[争いがある])。

続 く。

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