魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

【民事訴訟法 複雑な訴訟形態 複数当事者訴訟③】 ノート形式

2014-10-30 19:25:31 | 民事訴訟法
✻誤字脱字等は適当に解釈して読まれたい。

(4)通常共同訴訟

(通 説)必要的共同訴訟に当たら無い共同訴訟は、総て共同訴訟と成る。判決の合一的確定の要請が無く、共同訴訟人の原則が妥当する。
(共同訴訟人の地位) 第三十九条  共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

 「主張共通の原則」は、妥当され無いとされる。「証拠共通の原則」は、「自由心証主義」を背景に統一した事実認証(心証)を形成することから、此の場合にも妥当する。
(口頭弁論の併合等) 第百五十二条
2  裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

 厳格に独立原則を貫き「主張共通の原則」を排除すると極めて不自然な判決を提起することに成り兼ね無い。
(例)主債務者と其の連帯保証人~主債務者についての消滅時効の抗弁の扱い等。⇒様々な解釈論的努力。
・「独立原則」そのものを修正して理解する見解
 各自が他の者の制約を受け無いで積極的に訴訟行為をすることが出来ることを保障したもの。
・「当然の補助参加関係理論」による見解
 共同相続人への補助参加申立が無くとも、補助参加を認める。
(最判昭和43年9月12日民集22・9・1896〔217〕)は消極的。
・「類似必要的共同訴訟」の枠組みを拡張する見解

⇒訴訟共同の必要が無いと言われる「通常共同訴訟」であっても、「個別訴訟の併合」に留まるという建前通り、常に一部判決が赦される訳では無い。
 弁論の分離も最判所の完全な自由裁量で出来るとも言い難い。
 請求間に密接な関連性が認められる場合には、事案によってはそうした処置を違法とする余地があるとの見解も有力である。


(5)特殊な併合形態
①同時審判申出共同訴訟
(例)契約の効果が及ぶ本人に加えて無権代理人の責任の追及する為、代理人を被告として訴える場合⇒此れを個別に訴えると全面敗訴の危険もある⇒其の為、「通常共同訴訟」として提訴。
・両負けの危険を回避出来る。
(同時審判の申出がある共同訴訟) 第四十一条  共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
〇2  前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
〇3  第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

第二節 共同訴訟 (第19条)
民事訴訟規則19 (同時審判の申出の撤回等・法第41条)  法第41条(同時審判の申出がある共同訴訟)第1項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までは、いつでも撤回することができる。

・被告からの申出~認められ無い。
・複数原告の事案~此の訴訟制度を利用され無い。
・統一的な解決が法的に担保される関係には無く、一方への訴えの取下や請求の放棄・認諾も自由である。

②訴えの主観的予備的併合
 主位的には本人に対して契約履行(主位請求)を求め、予備的に無権代理人の責任を追及して履行を求める。=「予備的併合」(訴えの〔客観的予備的併合〕の当事者版が「主観的予備的併合」である。)

「主観的予備的併合」:数名の、亦は数名に対する各請求が実体理論上両立し得無い関係にあるとき、共同訴訟としての各請求に順位を付し、先順位の申立が認容されることを解除条件として後順位の申し立てをすることにより提訴するもの。

〇判例は、こうした訴訟の併合形態については消極的である。
(最判昭和43年3月8日民集22・3・551〔218〕)⇒判決を受け無い者を如何扱うかとの問題を懸念して、予備的請求の訴え却下。
(予備的被告や予備的原告の場合の被告)
・こうした保護が必要の無い場合
 例えば、既に他の請求との関係で当事者としての地位にある場合等に、こうした併合形態を認める実益はある。
 単に請求が実体法的な論理に於いて両立し得無い場合に通常共同訴訟に扱うことには違和感があった。

✻結果、「同時審判申出共同訴訟」の制度の導入


③訴えの主観的追加的併合
 訴えにより当事者が追加的に変更それる場合
・従前からの原告や被告が第三者に対して、亦は第三者からそうした原告や被告へ新訴を追加的に併合提起するもの~一般的には明文の根拠は無い。

・追加が問題と成るのは被告側からのものが多い。
(最判昭和62年7月17日民集41・5・1402〔219〕)~訴訟の複雑化等を問題としてこうした併合形態を認め無い。
〇「消極説」
 弁論の併合(事件の併合)裁判所主導型に乗って間接的に予定の目的を達することが出来る。
 然し、原告側に帰責性が無い場合は赦されるものとする余地がある。

続く。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿