天星人語

世間と空、そして(時々)海をぼんやり眺める毎日です。

【活字を散歩する】哲学するとはどういうことだろうー反哲学入門を読みながら考えました

2024-07-18 07:07:07 | 言葉・文字・数

哲学をどう解釈するのか

 

天星人語は、以下のように考えています。

哲学は、現実の出来事(目に見えたり耳に聞こえたりすることで知ることができる事柄)だけではなく、宇宙から地球に至るまでの全て(見えるものも見えないものも含めて)を、根本から深く考える活動です。

要するに、本当のことを知る活動です。

 

木田元さんは、

哲学とは、「ありとしあらゆるもの(あるとされるあらゆるもの、存在するものの全体=自然)がなんであり、どういうありかたをしているのか」ということについてのある特定の考え方、切り縮めて言えば「ある」ということがどういうことかについての特定の考え方だと言ってもいいと思います。

*木田元、「反哲学入門」、23頁

そう言います。

 

世界を解釈してきた幾多の哲学者たち

 

人間史には、この課題に向き合った数多くの哲学者がいます。

プラトン(国家)、アリストテレス(形而上学)、アウグスティヌス(神の国)、トマス・アクィナス(神学大全)、デカルト(方法序説)、カント(純粋理性批判)、ヘーゲル(精神現象学)、ニーチェ(力への意志)、ハイデガー(存在と時間)。マルクス(経済学・哲学草稿)も入るのかな。

 

紀元前400年に生きたプラトン、ソクラテスから1900年に生きたハイデガー。

 

彼らは、

 

現実世界はこうである。

これまでの哲学はこう考えた。

しかし、ここに限界がある。

だからわたしは、このように考える。

 

全てはこの論法です。

 

19世紀に、生きる勇気を与えるニーチェが現れます。

以後、全ての哲学者の思考に、多大な影響を与えました。

 

価値転倒を企てたニーチェ

 

ニーチェは、西洋哲学を通底していたプラトンが説いた自然観を覆しました。

 

プラトン以来西洋という文化圏では、かなり時間をかけて、超自然的な原理を参照にして自然を見るという特異な様式が伝統になりました。

その原理の呼び名は、さまざまに変わりますが、その思考様式だけは連綿と受け継がれます。それが「哲学」と呼ばれ、西洋の文化形成の軸になったのです。

 

19世紀後半、ニーチェがこのことに気づきました。

ニーチェは、彼の時代のヨーロッパ文化がいきづまりにきていると見て、その原因を探ります。

その原因が、超自然的原理を立て、自然を生命のない、無機的な材料と見る反自然的な考え方にあることを見抜きます。

ニーチェは、西洋文化形成の根底に据えられたそうした思考法が無効になったということを

「神(=超自然的原理)は死せり」という言葉で宣言しました。

ニーチェは、キリスト教は民衆のためのプラトニズムであると言います。

だから神は死んだのです。

 

さらに、ヨーロッパのニヒリズムを問題にします。

ニヒリズムとは、単に虚無的な精神状態を指すだけではなく、ありもしない超感性的価値を設定し、それを目指しておこなわれてきたヨーロッパの文化形成の全体を規定してきた歴史的運動の呼び名と解すべきだというのがニーチェの主張です。

 

そしてとうとう、新しい価値定立の原理を主張したのです。

 

しかしです。

ハイデガーは、ニーチェの限界を指摘するのです。

 

幾多の哲学史を読むより、木田さんのこの本を読むことにより、西洋哲学の根底が理解できたようです。

 

 

内容に、大変な読み応えある本です。

三浦雅士さんは名著だとまで書きます。


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