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新カテゴリの大それた趣旨:ケインズ経済理論と現代資本主義分析
これまでケインズの「雇用、利子および貨幣の一般理論」を読みながら、ケインズ経済理論を検討してきた。
カテゴリー:一般理論を読む
分かったことは、世間のケインズ経済理論理解の多くは間違っており、やはり一般理論を読み解きながらケインズ経済理論を再構築する必要があるということだった。
ケインズ理論はその性質上、分析哲学を基礎としており、いくつかのテーゼから壮麗なる上部構造を構築するようなものではない。ケインズの書きぶりも「ケースバイケース」というまことに理にかなったものとなっている。
最近はやりの「国債の日銀引き受けで紙幣はいくらでも創れる」といった「理論」とは一線を画しているのだ。
紙幣をいくらでも創れるという場合もあれば、そうでない場合もある。現実はどのような政策が必要とされているかというのが問題なのである。
では現実はどのようなものなのだろうか?
一般理論を読み込むことで得られた知見を基に、現代資本主義を分析していこうというのが本ブログ新カテゴリの大それた趣旨である
現代日本経済の現実 G7諸国のGDP比較
以下のグラフは“IMF:World Economic Outlook Database, April 2021”のデータを基にG7諸国の自国通貨建のGDPの推移を比べたものである。1997年を100として比較した。
まずはこのグラフを眺めて認識を共有していただきたい。

GDPについての議論はここではしない。GDP神話、成長神話等々いろんな言説があるが立ち入らない。あくまでGDPは国際比較や経時的変化を追うためのツールである。
なぜ自国通貨建で分析するのか?
国際比較なのにドル換算という共通尺度を用いないのか?
賃金は自国通貨で支払われ、財とサービスもやはり自国通貨で購入されるからである。ドル換算にはそれはそれで興味深い問題があるがここでは触れない。さらに言えば問題とされることの多い公的債務も円建である。
日本の特殊性?
日本は特殊であるという議論にはあまり与したくない。同じ資本主義といっても経済はその国固有の文化、制度に多大な影響を受けそれぞれの国は特殊である。その特殊性をいったん捨象して自国通貨建でGDPを比較すると何が分かるだろうか?ということが分析の主旨である。
明らかになったのは日本経済の停滞である。1997年⇒2021年(予想)でマイナスとなっているのは、コロナのせいとは言え、日本だけだ。しかもコロナの影響は日本では軽微な方なのである。

なぜ日本だけがこのような事態に陥ったのか?その原因を追究していくのが本カテゴリの目的である。日本経済停滞の原因をもっぱらGDP算出の統計である国民経済計算から探っていく。
ブログ更新は不定期となる。他のカテゴリに飛ぶこともある。生暖かい目で末永く見守っていただきたい。