昭和四十年に、父が、釧路に越して来る前に住んでいた聚落で、ブロック造りのこぢんまりとした平家(このブログでは、旧宅=田舎屋のこと)を新築した頃は、切妻屋根がほとんどで、カラートタンも、紺・青・緑・茶の四色しかなかった。もちろん、長尺トタンは生産されていなかった。以前の柾屋が、長方形にカットしたカラートタンの四隅に折り目を付け、下から上に互い違いになるように一枚一枚組み合わせて屋根葺きをやっていた。今はもう、柾屋といっても知る人は少なくなった。
昭和六十三年に、私が現在地に、両親と同居するために家を建てた頃は、既に長尺トタンの生産技術が確立され、屋根職人の仕事も様変わりし、トタンの色も、昭和四十年代と比べて華やかになり始めていた。
現在、釧路の街中の家並みを眺めると、屋根は、形状が複雑(写真右上や下右)になり、色は、黒色(写真左上)や褐色が圧倒的に多いが、思わぬ色(写真下左のえんじ色や下右の黄土色)に遭遇することも稀ではない。家屋の構造は、凹凸が少ないほど耐久性が強く、経費も節約できる。屋根の形状も、シンプルな切妻や寄棟に、適度な傾斜をつけるのがベストで、複雑であればあるほど、後々のトラブルの要因が多くなる。
上右のような屋根では、二階の屋根からの雨滴が一階の屋根に当たって飛び散り、二階の壁材を徐々に損傷してしまう。建築士は、図面一辺倒だから、あらかじめ建て主に具体的ななアドバイスを与えることもないのだろう。
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