タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 不祥事の露見 ≫

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 最近は、カラスの鳴かない日はあっても、各業界の不祥事が、国民の耳目を集めない日は一日とてない。事実の改竄・偽装・隠蔽などは今に始まったことではなく、日本国開闢以来、枚挙にいとまがないほどあったに違いない。昨今は、各種メディアの発達により、表沙汰になるケースが増えただけなのだろう。
 11月8日付『北海道新聞』第33面〈第1社会〉は、昨年発生した札幌稲北高等学校での生徒の個人情報盗難事件隠蔽に関連して、当時の学校長(現・釧路湖陵高等学校長)が、北海道教育委員会に一般教員への降任を申し出たことを報じている。
 事が露見しなければ、道東の名門校の校長として定年退職を迎えるはずだったろう。天網恢々疎にして漏らさず。今や、内部告発が何のプレッシャーもなく行われる時代である。三回もあった盗難事件を隠しおおせると考え、自己の保身しか念頭にない、時流に疎い学校長の哀れな末路に同情の余地はない。
 三回転職した私の最後の職場で、社会的に大きな反響を生じかねない不祥事が発生したことがあった。札幌の本社で行われた重役会議で、釧路支所長が、「この程度のことは、当方でなんとか」と発言したところ、社長から、「不祥事を軽く見て、事実を隠蔽しようとするのが大事を招く」と一喝されたらしい。その後、事実を公表し、適切な事後処理を行ったため、会社は、厳しい社会的非難を免れることができた。この時の社長の高い識見と、毅然とした態度は今でも忘れられない。

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