タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 北朝鮮・ミサイル発射で国家経済疲弊加速 ≫

P1020645 朝鮮民主主義人民共和国という破落戸(ごろつき)国家が、五日に人工衛星打ち上げを名目として発射した長距離弾道ミサイル(発射台近辺の衛星画像、及び世界の主要弾道ミサイル所有国地図は、3月27日付『讀賣新聞』第13面〈解説〉から転写)について、米国の専門家は、「途中までは予定通りの飛行を見せ、長射程化で一定の成果があった」(4月7日付、同新聞・第1面)ものの、人工衛星打ち上げとしては失敗だったと見ている。ロシアも六日、「北朝鮮が打ち上げに成功したと主張している人工衛星は地球を周回する軌道上に確認できない」(同日付『北海道新聞』第2面〈総合〉)と指摘した。だが、政治的見方は、また別物である。
 ミサイルが<加速不足>で太平洋に落下したことを知りながら、北朝鮮が「民族史的大慶事」という虚言に固執するのは、国内向け(将軍様を頂点とする揺るぎない国家体制)と、対米向け(長距離弾道ミサイルの飛躍的性能向上)の二つの明確なメッセージを発信することに意を注いでいるからに他ならない。
P1020646 ま、打ち上げた衛星から何とかの歌の旋律と測定データが地球に送信されていると報じるのはご愛敬だが、北朝鮮の目的は初めから「危機を煽る」ことにあり、人工衛星などどうでもよかったのだから、改良ミサイル発射によって、オバマ政権が、今後、困難な北朝鮮外交を強いられることは間違いない。
 しかし、米国に対してミサイル・カードを握る代償に、人民にろくな食糧を与えることもできない北朝鮮は、三億㌦もの巨費をミサイル発射に投じたのだ。韓国大統領府関係者によると、「コメ百万㌧を購入でき、一年分の食糧不足を解消してもお釣りが来る」(4月7日付、前掲『北海道新聞』)金額だという。ミサイルは<加速不足>で海に落ち、国家経済の疲弊は<急加速>で進行する。自業自得だから誰にも文句は言えない。ミサイルの技術や部品をどこぞの国に輸出して得た金はどこに消えるのか。金王朝の命運はもはや風前の灯火だろう。

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