八月二十六日、メドベージェフ大統領が南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を認めた(ロシアの安全保障会議の写真は、8月27日付『北海道新聞』第1面から転写)ことで、対立を強めていたロシアとEU諸国の外交関係は、世界的な金融危機と景気後退の影響により、双方の思惑が<安全保障問題>から<経済的利害>に移行し、正常化へと向かわざるを得なくなった、と見るべきである。
ロシアは「両地域をグルジアから切り離し、軍部隊を駐留させ、事実上属国化することに成功した」(11月15日付『讀賣新聞』第7面〈国際〉)が、国際的信用は大きく失墜し、株価下落と国外への資金流失という痛手を被り、さらに、豊富なエネルギー資源も世界的な金融危機が原因で価格が暴落した。
失われた国際的信用の回復と投資環境の安定は、ロシアにとって経済立て直しに必須であり、十一月十四日に、EU・ロシア定期首脳会議でサルコジ大統領とメドベージェフ大統領が、包括的協力協定の交渉再開に合意(握手する大統領の写真は、11月15日付・同新聞から転写)したことは、グルジアにとっては痛手だろうが、EU・ロシア双方にとっては、金融危機克服のために朗報である。
ロシアでは、銀行破綻・失業者急増・通貨切り下げなどへの国民の不安が高まっており、プーチン首相は二十日、「自らが党首を務める政権与党『統一ロシア』の大会で演説」(ネット・ニュース速報、asahi.com、11月21日0時28分)し、見返りを期待してIMFへの10億㌦拠出を表明するとともに、深刻化する自国の経済危機の克服を強調した。もはや、グルジア問題に精力を注ぐ余裕はないのだろう。
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