盆栽と称するにはいささか気が引けるが、30数年来、樹高三寸から八寸くらいまでの雑木や高山性低木の鉢植え、高山植物の鉢植えや石付けを、庭の一隅に設けた棚の上で育ててきた。在職中はあまり暇がなく、植え換えもままならなかったが、定年退職後は、いわゆる「毎日が日曜日」なので、本腰を入れて作り直そうと思っている。このような鉢物いじりが庭仕事とみなされるかどうか、違和感がないではないが、盆栽棚が庭の一部となって久しいので、カテゴリに含めることにした。
これらの鉢物は、積雪が少ない釧路では、棚にそのまま上げておくと、土が凍って膨張し鉢が割れてしまうし、大事な草木も寒風に吹きさらしの状態で乾燥し枯れることが多い。被害を防止するために、遅くとも11月上旬までに鉢ごと土中に埋める。埋め場所は、日光が当たらず雪が遅くまで残る、居宅の北側が最適である。割れて使い物にならなくなると、今の釧路では、北大通りに二つあった瀬戸物専門店が廃業し、同じような形の鉢を買い求めることはほとんど不可能に近い。鉢埋め作業は慎重に行うが、それでも古い高価な鉢に罅が入る。掘り上げてミニ箒で土を払い落とすときの祈るような気持ちは、好事家でなくては分かるまい。棚に並べるのは5月上旬、エゾムラサキツツジが満開の頃となる。4月上旬の今は、まだ裏舞台にひそんで影が薄い。
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