基準値を超える農薬やカビ毒で汚染された「事故米」を食用に不正転売していたことが明らかになった米粉加工業<三笠フーズ>の本社社員は、ぬけぬけと「元九州事業所長が混入した」(9月5日のNHKテレビニュース)と、本社の関与を明確に否定したが、冬木三男社長は、6日に大阪市内で行われた記者会見で、「利ざやを目的に不正転売するよう現場に自ら指示していた」(9月6日付『北海道新聞』夕刊・第11面)ことを認めた。
農水省は、9日現在で三笠フーズの「汚染米の流れ」を発表したが、不正転売の経路や混入した製品がさらに拡大するとともに、10日には、新たに二業者が事故米を転売した事実が判明(9月11日付『讀賣新聞』第37面〈社会〉)し、流通した汚染米の安全性が危惧されている。
政府は、16日に、三笠フーズによる不正流通ルートのほぼ全容を明らかにし、中間流通業者のほか、判明している関連会社名を公表した(9月17日付、前掲新聞・第1面)。
今回の汚染米ビジネスで驚いたことは四点。第一は、多くの業者が、危険性を認識しながら、儲けるためなら工業用米を食用米として転売することに何も罪の意識を感じていないこと。思わず知らず、言葉の端々に本音が表れている。
第二は、予想されたことではあるが、中華人民共和国やベトナム社会主義共和国からの輸入米に、メタミドホスやアセタミプリドが残留農薬として含まれていること。
第三は、事故米を購入した会社に対する農水省の調査が杜撰で無責任だったこと。カビ毒のアフラトキシンは有毒と認識されていなかったのではないか。
第四は、汚染米が、保育園・学校・病院・老人施設を含めて、数百箇所以上に流通したにもかかわらず、農水省がすぐに流通経路を把握できなかったこと。
業者が業者なら、農水省も農水省である。どちらも無責任に変わりはない。
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