木工工作や木版画が好きで、少年の頃からカツラやホオノキとはなじみが深かった。どちらも木質が緻密で柔らかいので、昭和三十年頃は、無垢の一枚板が彫刻材として用いられ、特にカツラは、高さ三十㍍・太さ二㍍もの巨木になり、家具材として珍重された。
私の工作用に、父が製材所に頼んで端材をよく貰ってきてくれたが、ホオノキの製材の方が入手が難しかったように記憶している。自然木のカツラは、春には赤い小さな円形の新葉、秋にはイチョウに勝るとも劣らない黄葉が山腹を彩って見事である。写真上段<左>の大木は十月一日、弟子屈町の国有林で、<右>の若木は十月十四日、清里町の斜里川支流で撮影。
写真下段<左>は、田舎家の敷地(三百九十坪)に植わっている実生木(樹齢二十数年、樹高六㍍)で、昨年五月十五日撮影。新芽が赤く膨らんでいる。
下段<中>と<右>は、実生ポット苗を鉢で育てた、樹齢十九年・樹高二十五㌢の同一木。<中>は昨年五月十六日、<右>は昨年八月二十八日撮影。
カツラは山中でも庭でも、このように紅葉することはない。植えかえの際、根を丁寧にほぐして小さく切り詰め、小粒の山砂入り用土で鉢に収める。粒状の有機質肥料を少量混合するだけで、特別な栄養分は与えていない。葉が出ると、枝が間延びしないように葉刈りを怠らないことが肝心である。秋早くの紅葉の原因は不明。
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