タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 中華人民共和国の不動産不況 ≫

P1000659_2 予想されたことだが、中華人民共和国では、北京五輪開催に向け高騰を続けてきた不動産価格が、経済成長の減速により、急激に落ち込んでいる。
 八月に全国平均で初めてマイナスに転じた住宅販売価格(住宅価格グラフは、10月19日付『讀賣新聞』第7面〈経済〉から転写)の低迷について、「投資や投機で不動産価格が異常に値上がりした反動が表れている。〈価格が正常化するために〉必要な調整だ」(前掲新聞)との見方もあるが、単なる正常化への調整作用ではなく、米国サブプライム問題の影響も重なった本格的なバブル崩壊の端緒と見るのが正解だろう。
 とりわけ深圳では、マンション(建築中のマンションの写真は、前掲新聞から一部を転写)を大幅に値引きしても販売減が止まらない状況が昨年秋から続き、それが他都市に拡大している。
P1000658 金融当局は、インフレ防止のために実施してきた経済引き締め政策から景気刺激策に転換を始め、「9~10月にかけて連続利下げしたのも、不動産市場のてこ入れが理由の一つとみられている」(前掲新聞)が、その効果は弱く、市場は長期低迷の様相を呈している。
 国家統計局によると、「都市部の落ち込みが大きく、九月のマイナス幅は北京で前年比49.7%、上海で37.8%に達した」(11月12日付、前掲新聞・第10面〈経済〉)ようだ。実質的な<不動産バブル崩壊>である。もはや、下げ止まりを待つ以外に打つ手はないだろう。米経済が減速しても、アジアの新興国は成長を続けるというデカップリング論を唱えた連中はどこのだれだ、出てこい。

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