タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 大相撲八日目の好一番、論評の違い ≫

Photo_2 大相撲<名古屋場所>八日目の結びの一番。好調の関脇・稀勢の里と対戦した横綱・朝青龍は、立ち合い鋭く頭で当たり、左下手回しを引いて攻め込んだが、稀勢の里が後退しながら身体を振って下手を切り、突き落とすと、横綱は足を送ることができずズルズルと土俵に落ちた。
 私は、この一番をテレビの画面で見て、朝青龍は身体の切れが悪くなったと強く感じた。七日目までの全勝は、対戦相手に恵まれたせいで、もはや全盛期の敏捷な動きと力強さはない。
Photo_3 この勝負について、下山博之記者は、「今場所の不調も前日まではごまかせたが、骨っぽい相手と戦えば、稽古不足のボロは隠せない。足腰の強さで売ってきた朝青龍の土台が、崩れかけていることを示した黒星だった」(7月20日付『讀賣新聞』第23面〈スポーツ〉)と評したが、渡辺創記者は、「勝負には負けたものの、相撲内容は決して悪くない。数々の逆境をはね返してきた横綱が後半戦をどう戦うか。名古屋の熱戦から目が離せない」(同日付『北海道新聞』第23面〈スポーツ〉)と正反対の評を下した。
2_2 渡辺創記者が、横綱として黄昏を迎えた朝青龍の力を見誤っていることは、翌九日目に千代大海に無様な負け方を喫したことで明らかである。千代大海の付き押しで、朝青龍は腰が伸び、引かれるとあっさり四つん這いになった。渡辺創記者が、落日の横綱に何を期待して「名古屋の熱戦」というのか。私にはその根拠が分からない。スポーツ記者として、名古屋場所後半戦の展望をどう描くか、視点が定まっていないような気がする。
 ■ 取り組みの写真は、上段から下段に、asahi.com  <09.07.20.5時>、<09.07.19.><09.07.20.18時>から転載 ■

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「スポーツ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事