タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

≪ 史上最強の外来種 ≫

P1010336 7月19日付『北海道新聞』第28面・29面に、興味深い小記事が掲載されている。第28面〈第4社会〉の記事の見出しは、「ヒト祖先『単一起源説』頭蓋骨解析し証明」、第29面〈第3社会〉の記事の見出しは、「根室半島でも発見 セイヨウオオマルハナバチ」。今回の投稿に使用した本の表題は、『5万年前に人類に何が起きたか? 意識のビッグバン』。この投稿では、三種類の資料を参考にし、生態系に悪影響を与えることが懸念される「特定外来種」について、いささか私見を述べる。
 セイヨウオオマルハナバチについては、5月19日投稿の<ツツジとオオマルハナバチ>で触れた。ハウス栽培の授粉用に導入され、野生化したものだが、ハウスから外に出られないようにすることは、初めから無理な話だったのだ。人手を省き、楽をして利益を上げようとする、人間の欲望から生じた人為現象である。生態系に影響を及ぼす恐れがある「特定外来種」に指定して駆除できるものなら、やってみるがよい。ホモ・サピエンスの傲慢な行為の行き着くところに注目しよう。
 元来、ホモ・サピエンス自体が、安定した生態系に影響を及ぼす恐れがある「特定外来種」だったのではないか。リチャード・G・クライン、ブレイク・エドガー『5万年前に人類に何が起きたか? 意識のビッグバン』(新書館)については、7月15日投稿の<世界人口白書>で触れた。ホモ・サピエンスの起源について、これまで、単一起源説と多地域進化説との間で論争があったが、同書は、単一起源説を取り、「現生人はアフリカだけで進化したこと。現生アフリカ人は五万年前頃ユーラシアに広がり、そこで、ネアンデルタール人やほかのユーラシアの非現生人を圧倒し、またとって代わったこと。化石や人工遺物、遺伝子が以上の結論をはっきりと証言する」と明言している。『北海道新聞』の記事は、形態学的に単一起源説を裏付ける、佐賀大学医学部・英国ケンブリッジ大学研究グループによる頭蓋骨解析の結果を紹介している。ホモ・サピエンスこそ、ユーラシアの生態系に影響を及ぼした「特定外来種」だったといえる。
 地球を制覇した「特定外来種」のホモ・サピエンスは、自らを駆除する以外に、地球の生態系を維持することができないのではないか、と私は危惧するのである。

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