ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

バーレス専用ローターの開発コンセプト・・・パート1

2012-04-11 06:03:48 | マテリアル
前回の投稿で、GSエンジンを搭載したAceOne専用バーレス機が無事ロールアウトした事をお伝えした。

今日から・・・本格的な耐久テストに突入しようかと思っていたのだが・・・外は・・・雨。

この処の天気は・・・実に不安定・・・全く困ったモノだが・・・こればかりはどうしようもない。


今回は・・・ロールアウト時に使用したバーレス専用ローターの開発コンセプトに付いて述べてみたい。



数十年前に・・・市販の模型機のローターヘッドに加工を施して、バーレス機の研究に没頭した事が有る。

市販のサーボローター用のグラスローターでさえも、殆ど販売されていなかった時代の事である。


その当時は仕方なく・・・テストに使用したローターは、専ら市販の木製ローターがベースであった。


バーレス用のローターの場合には・・・ネジリ下げが絶対に必要である・・・と言うか、
ネジリ下げの程度はともかくとして・・・そうでならなければならない。


これは・・・弊社でのテストの結果からも判っているし、理論的見地から判断しても・・・物理的に
その様にならなければならない理由がある。

勿論・・・フライトフィーリングも大事なのだが・・・理論的に良く考えられていて、良く(正確に)
出来ているメインローターならば・・・自ずとそのフィーリングも向上するモノと確信している。



しかし・・・当時市販されていた模型用の木製ローターは、元々サーボローター用でバーレス用では無い為に、
その殆どがネジリ下げ無しのローターであった。


それらのローターをそのままバーレスで使用して見ても・・・決して、良い結果など生まれない。



そんな訳で、仕方が無いので・・・その市販の木製ローターに追い加工を施して使用していたのである。


本当は・・・ネジリ下げを付けたローターを使用したかったのだが・・・正確にネジリ下げを付ける技術が
私には無かった。


と言うか・・・当時は考え付かなかったのである。


今であれば・・・そんな事位は・・・・いとも簡単に(理論的には)出来る。


しかし、実際に作るとなれば・・・その作業工程が大変なのと、所詮木製では狙った性能を出す事は
不可能なので、今更・・・とても手を出す気にはなれない。

要は・・・無駄な努力はしない・・・と言う事だ。


その当時は、別に空撮用として実験していた訳では無い・・・と言うより、昨今の様な制御装置の
無い時代の事なので、その安定性は趣味レベルであった事は・・・言うまでもない。



では・・・何故、その様なローターは狙った性能が出せ無いのだろうか・・・・?


また、本当に狙った性能を出す事は不可能なのか?



加工技術が・・・悪かったから・・・?


多分・・・大いに、それもある。


しかし、大部分の原因は・・・別にあると・・・私は考えている。



では・・・ここで、その時は実際にどのような加工を木製ローターに施したのか?・・・
を、述べてみる。



先ず、バーレスローターの場合には、ネジリ下げが必要不可欠である事は既に述べた。

またその時・・・バイアス方向のネジリ剛性が高くないと・・・何の意味も無いのである。


何故・・・ネジリ下げが必要かと言う事だが・・・バーレスにトライしようとしている人は
各自考えてみて欲しい。

その程度の事が判らなければ・・・バーレスに挑戦しようなどと考えない方が身の為だし、
実際には・・・その調整も難しいだろう。


そんな訳で、市販のネジリ下げ無しの矩形ローターに、ネジリ下げを付けたかった。

しかし、そのままネジリ下げを付ける事は難しい。


そこで・・・ローターをテーパー状に削って、平面形が変化する様に追い加工する事で、
発生する揚力の均一化を図ったのである。

そうする事で・・・理論上は、飛行中の急激なタックアンダーやバルーニングと言う様な
特有の癖を排除出来る・・・とは少し大げさだが・・・かなり軽減できる。



従って、そのローター形状を最適に設計し・・・飛行中に応力が掛った場合でも、そのピッチを
正確に維持出来る構造のローターでなければならないのだ。

因って・・・その対策として、バイアス方向の強度を上げる為に、その当時は苦労してグラスを巻いて、
加工したモノである。



しかし実際には・・・その様に苦労して加工したローターでも・・・物理的に無理がある。


コード方向のファジーな重心や風圧中心との乖離・スパン方向の可撓性のアンバランスなど
・・・今考えると・・・全てに於いてアンバランスで、かなり稚拙なローターであった。


そんな中・・・一時期のF3C競技などで使用されたローターが、グラス巻きローター全盛だった事もある。

しかしそれは・・・黎明期ならではの事だったし、模型の様な軽量機故・・・それらのデメリットが
サーボローターでは、あまり表面化しなかったのだろう。


それでも、そんな稚拙なローターを使用して、自分なりに確立した設定方法で30~60クラスの機体を調整した。

それらの機体は・・・ロールやループを始め、オートローテーション迄、当時のF3C演技位は
難なく行う事が出来た。




現在では、国内外のメーカーから、スポーツ用として様々なバーレス用の制御装置が販売されている。

それらはどれも・・・素晴らしい飛びを見せている様に見えるのだが・・・基本的なローター性能を無視しても、
制御がそれを恰もバー付きの様に飛行させてしまっいている。

しかし、決して制御系を使わずして、それらのローターで同じ様に飛行する事は無いのである・・・
と、言うか、制御装置の助けを借りて、たとえ幾ら巧く飛行させられたからと言って、基本的に
ローターの良し悪しを論じる事など無意味だと言う事なのだ。


ローターを開発する時は・・・当然理論に下付いてそれらは設計されるべきだし・・・
又、そうで無ければならない。


皆さんも・・・実機のヘリのローターを見た事が有ると思う。


それらのヘリのメインローターは・・・駐機中にどのようになっていただろうか・・・?

良く、スケール機の集まりなどで、参加者が実機の様にメインローターが垂れ下がっていないのが
残念なんだよね~・・・などと話しているのを耳にする。

しかし・・・実機のそれには・・・れっきとした理由がある。

決して・・・カッコじゃないのよ~ローターは~・・HA HA~♪♪と中森明菜が歌う訳もないが・・・。
この歌のメロディーが・・・判るかな~わかんね~だろうな~・・・などと・・・何れもかなり古い。

下の写真は・・・ハイプロで試作して、今回からテストに投入されているバーレス専用ローターである。



これなら・・・実機の雰囲気が有るので・・・スケールヘリにも十分使用出来るのではないか・・・?


なんだ・・・ヤッパリ・・・スケールの話かい・・・ナンテネ・・・。


この続きは・・・次回で・・・。




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