ラジヘリ空撮

空撮用マテリアルの開発状況に係る情報発信や、現場での出来事及び、日常の情報発信を致します。

続・・グローエンジンのお話し

2011-09-21 04:19:39 | 模型
昨日に引き続き、模型用に広く使用されている、グローエンジンのお話しである。

アップした写真は、そのグローエンジン用のグロープラグである。

通常、ガソリンエンジンでは、イグニッションコイルからプラグコード経由で、プラグに数万ボルトの電流を流し、火を飛ばしている(ピストンが上死点付近になった時に、スパークさせている)。

この火を飛ばすタイミングは、普通エンジン回転と共に変化する様に設計されている。(進角)

そのタイミングが上手く調整されている場合は、結果、スムーズにエンジンが回転する事になる。

タイミングが狂っていると、最悪エンジンが始動しない事だってある。

私が整備士をしていたLong Long ago・・・の頃は(・・チョット大げさか?)、良くタイミングライトなるモノを使用してエンジンの点火タイミングを調整したものだった。又、点火タイミングの調整には、それは必需品だった。

しかし、人間の感覚と言うモノは、経験を積むに従って鋭さを増し、そのタイミングライトを用いなくても、最終的には五感を使って、確実にエンジンの点火タイミングを調整出来る様になった。

それはSixth sense や、適当に・・・なんかでは無く、殆ど完璧にそれが出来た。

もっとも、現在の若い整備士達には、そんな経験はないであろうし、又、今のシステムではその必要が基本的に無い。

グローエンジンの話しに戻す。

上記では、一般的なガソリンエンジンが運転する時の、プラグやその点火タイミングに付いて、概略を解説した。

では、グローエンジンの場合は、どうなんだろう?

グローエンジンには、ガソリンエンジンの様な複雑な装置は付いていない。

しかし、点火時期の調整(進角)も必要なハズである・・・。

では、どうやって?・・何を使って進角させているのだろう・・・?

その答えは、グロープラグにある。

この小さな部品・・・だが、非常に重要なのである。しかし、マニアからは非常に軽視されている。

そのプラグであるが、その一部に、貴金属でもあるゴールドパラジュームが使用されているので、今では、製造コストも非常に高騰しているハズで、メーカーも頭が痛いのだと思うのだが・・・。

因みに、日本の女性は、その材質を使用した指輪やネックレス等を好み、大金を出して購入する。
日本の若い女性には、ゴールドではなく、ゴールドパラジュームが人気なのだと言う。

マニアの皆さんは・・・ダメになって交換したグロープラグをどうしてますか?・・・まさか?その貴金属をゴミ箱へ・・・ですか?

又また、脱線した。話しを元に戻す。

そんなグロープラグではあるが・・・それ一つで点火から進角までやってのける、非常に優秀なパーツなのである。エンジンの圧縮率によって、点火具合が強くなったり、弱くなったりするのである。

基本的に、進角は燃焼室の火炎伝播のスピードに合わせて行われ、エンジンをスムーズに燃焼させる為に必要なのである。

しかし、その寿命はそれ程、長くは無い。

それは、使用すれば、する程、劣化する。

世の中の大体の物事は、全て同じ理屈で推移するのだが、この変化は、少しずつ進行するので、判らない(気が付かない)事が多い。

因って、定期的に、プラグを外して点検する事が、大事なのである。
経験を積めば・・・エンジンの回転状態や、機体の振動・音に因って、判断も出来るのだが・・・

アップした写真は、少し見ずらいかも知れないが、劣化したプラグの様子である。フィラメントの表面がすりガラス状になり、艶が無くなっていれば、既に交換時期を迎えている。さらに劣化するとフィラメントがヨタッて来る。

又、始動時に、プラグヒートを外した時にエンジンが止まる場合も、プラグは寿命です。

飛行中にプラグが切れる事だって、希にあります。

その場合には、フィラメントの損傷具合に因って、エンジンが止まる場合と、エンジンが回り続ける場合あります。

エンジンを快調に運転させる為には、プラグは早めに交換し・・・ゴミ箱へは・・・・ネ。

今では、プラグをリサイクルの為に、ガンバッテ、プラグを回収しているメーカーさんもありますね。

繰り返しますが、エンジンがスムーズに回転しないと、ヘリのホバーリングも安定しないし、スムーズに回転を変化させられなくなってしまいますので、非常に重要な事なのです。

次回は、プロや上級者が道具を綺麗に手入れする、その訳について話をしたいと思います。



グローエンジンのオーバーホール

2011-09-20 04:46:32 | 模型
お客さんの模型用グローエンジンの、オーバーホールを行なった。

先日久々に、模型飛行場へ行った時の事である。そのお客さんは、その機体を何時も綺麗に使っていて、点検を欠かさない。(・・||||r

従って、外見はすごく綺麗なのである。(私が塗装した、FRP製のキャビンも装着されており、ピカピカだ)

又、スゴク調子も良かった・・・らしい。

しかし、かなりの期間使用している。

彼も又、国家資格を取得している、プロの自動車の整備士なのだ・・・それもかなりの経験を積んでいる。

その彼が、少し離れたピットでエンジンを始動した時、私は異変を感じた・・・?

彼は、そのまま飛行場へ・・・その後、何事もない様に離陸した・・・。

ホバーリングを開始したその機体からは、明らかに異音がしている・・・少し振動もあるようだ。

迷ったが、私は彼のもとへ、直ぐに機体を着陸させる様に指示をした。

着陸後、何事だと言う様な顔をしている彼に、その異音がいつ頃から発生したモノなのか?聞いてみた。

彼は、???異音がしている???何の音???

と聞いてきた。

私には原因は何なのか、既に解っていた。

皆さんの中にも、大体察しが付いている方も多いかと思いますが・・・そう、エンジンのクランクシャフトを支持しているビッグエンドのベアリングが錆びているのだ・・・と、確信した。

エンジンの中の事である。

その状態で、長く使用し続ける事は、最悪エンジンブローとなり、重大な損傷を受けたそのエンジンは、使用不能となる。

大袈裟な・・・、と思われる方もいるかと思うが、高速回転中にビックエンドのベアリングが破損すると、クランクケースの中の混合気と一緒に、燃焼室までその破片は到達する。

結果、その破片は殆ど排気されずに燃焼室の中を、のたうち廻る。
こうなるとエンジンは、再生不可能となり、言わば御臨終である。

私は、その事を彼に説明した。彼は、その事を直ぐに理解した様だった。

この手のトラブルは、少しずつその症状が進行する。従って、その僅かな変化に、彼の様な整備のプロフェッショナルでも、気がつかなかったのである。

時間のある時に、エンジンをオーバーホールした。アップした写真は、その時のモノである。

ビッグエンドのベアリングが、かなり錆びている。指で回してもゴリゴリする状態で有った。その彼も、それを見て驚いた。

グローエンジンのビックエンドのベアリングの寿命(普通に使えるのは)は、大体、約3ヶ月~半年程度ではないかと、私は考える。ユーザーが自覚しているかいないかに係わらず、その時点で、サビが発生している。

サンディーフライヤーの方たちは、そのへんをあまり気にせずに、使用している様だ。

ヘリは特に、エンジンが綺麗に回らないと、安定もしないし、上手く飛ばないのである。

注意が、必要である。

修理が完成したその機体を、フライトさせた彼が言った事は・・・このヘリってこんなに静かだっけ?・・別の機体みたいだ・・・だって。そう言ってもらうと私も(*´∀`*)

良い状態と、ダメな状態は誰でも直ぐに解る。

しかし、少しずつダメージを受けている場合には、気が付きにくい・・・エンジンに限らず、何事も異変を感じたら(感じない事も多いが)直ぐ対処する事が大事だと思う。

次回は、そのへんの話を・・・


も~・・やんなっちゃう

2011-09-19 09:56:13 | マテリアル
会社は、連休で休みなので、昨日より、(o・・o)/~マニュアルの翻訳をやっている。

中国語を英語に翻訳した物を、マタマタ日本語に翻訳するのだ。

兎に角、思うように上手く訳せない。

その理由は・・??

誤字もあり、単語どうしが継っていたり・・・

文法がおかしいのか?言い回しが基本的に違うのか?・・は、私の知るところではないが・・・

本当は、私の英語能力の不足が一番の問題なのだが・・・(´;ω;`) そこは、棚に上げてものを言っている。


唯でさえ翻訳が進まない上に、弊社では、オリジナルのマニュアル中に、解りにくい箇所が有れば、
解りやすく解説し直したり、実際に製品を使用してみて、私が必要だと感じた箇所には、
解りやすく解説を追加している。


そんな事をしていれば、一体何時になったら仕上がるのか?・・・ヤレヤレ・・先が思いやられる。

展示会に出展

2011-09-19 04:56:45 | 日記
先日、ある大きな展示会が有った。

そこに、ある測量会社の依頼で、弊社の空撮用ラジコンヘリコプタを展示した。

100数十社以上が出展した、大きな展示会である。それは3日間の日程で行われた。

その会社の展示ブースに、光栄な事に、ほぼメインで展示して頂いた。

チョット見、なんて事はない普通の空撮機ではあるが・・・・台風が上陸していて、天気も最悪だったが、多くの一般の来館者の皆さんにも観ていただけたし、他に出展している異業種の方達にも観て頂き興味を持って頂いた。

依頼先の測量会社の営業の方達も、毎日3~4人出ていただいた・・・勿論、ラジヘリの為だけに、と言う訳ではないが・・・積極的に営業をして頂いた。

依頼先の測量会社の皆さん、大変お世話になりました。有難う御座います。感謝・感謝・・・(#^.^#)

Y先輩が来社

2011-09-18 10:24:14 | 撮影
Y先輩が来社された。以前のブログで勝手に紹介させて頂いた、AYH-3の模型を製作した、その、お人である。

Y先輩にそのブログを見せたところ、Y先輩から正式に、AYH-3の模型を販売する許可を頂いた。

非常に精密に作り込まれた、その機体サイズは50クラス専用である。

基本的に受注生産で、フルコンプリートとして販売したい。
販売価格については、搭載するフレームにより変動するので、価格・納期については、お問い合わせをお願いしたい。

そのY先輩から、先日来、空撮機(キャリバーZG)に搭載している、DJIの不具合に付いて、度々電話で問い合わせを頂いていた。

しかし、その説明が意味不明で(失礼)・・どうも的を得ない。弊社(私には)では、何を言っているのか?その内容が理解が出来なかった。

その話の中で、唯一解った事は、AUTOでフライトさせると操縦不能になる?・・・と言う事であった。

何だか訳が解らないが、兎に角、非常に危険な状況である事だけは、理解ができた。
購入先にも問い合わせたが、解らなかった・・との事ではあったが・・・あの説明では・・・・・
ある意味納得した(失礼)。

従って、私は、一度持参して欲しい・・・実際に診ないと判断も出来ないから・・・と言う事で、今回のY先輩の来社となった。

Y先輩には、予め泊まりで来て欲しいとお願いしていた。久しぶりに電話を頂いて、懐かしかったし、私を頼って来て頂いて、本当に嬉しかったのである。

なので本当は、DJIの不具合の事は二の次で、どうでも良かった・・・。

唯、久々に一献を傾けたかったのである。
(この事は、Y先輩には内緒である。・・・このブログを見られたら・・・どうしよう・・)

Y先輩とは、以前産業用無人ヘリコプターの業務を一緒に行なっていた、言わば元同僚である。

互いに産業用無人ヘリコプターの指導員としてスクールを開催し、日本全国へ一緒に赴いた仲である。

夜には、久しぶりに、一緒に美味い酒をのんだ・・・。昔話に花が咲いた事は、言うまでもない。

話を元に戻そう。

今回、問題になっている機体は、無人ヘリコプターのスペシャリストでもある、そのY先輩の機体・・・である。

繰返すが、以前産業機の整備も行なっており、その姿勢制御関連にも精通しているスペシャリストの所有する、
空撮用の機体である。



早速弊社で、その持ち込まれた機体を診た。各部のチェックをして行く内に、直ぐに大体の察しが付いた。

そもそも、DJIの不具合には、大別して3通りあると・・私は個人的に考えている。

その、一つ目は、DJI自体の不具合。(初期不良・故障等)・・・精密な機械ものなので、その可能性は当然有る。
二つ目は、DJIの調整不良に起因する、不具合。・・・設定・調整で改善出来る。
三つ目は、DJIのインストールに係わる、不具合である。・・・各ユーザーが思い思いに、それぞれの手法で取り付けしているので、その不備に起因するトラブルが多く、その原因究明には、かなりの時間を要する上に厄介である。

他にもあるじゃないか・・と、言われそうだが、機体自体の振動や、その整備不良(組立・調整不良を含む)は
論外で、そもそも、その様な機体には、DJIを取り付ける事が出来ないので、ここでは除外している。
あくまでも、機体側に何ら問題が無い状態で、初めてDJIを搭載する事が可能で、その事が必要最低限の条件でもある。

それから、配線がカーボンフレーム等のエッジに接触しており、何れ断線する危険性があるもの等、危険をはらんでいる搭載事例は、数えればきりがない。

今回の事案は、三つ目のDJIのインストール(機体への搭載)に係わる不具合であった。
因みに、弊社での検査の結果、10分程度で、その問題は解決してY先輩に喜んで頂いた。

私も、お役に立てて嬉しかったし、原因が解明できてホッとした。

何よりも、原因が解らなければ、夜の酒も不味くなる・・なんてね(*´∀`*)

しかし、この現状を考えた時、喜んでばかりもいられない・・・。プロ中のプロがやっても、そのような状態なのである。それを、一般のマニアや制御に精通した人間以外の人(殆んどの人が、その範疇だと思われるが・・・)
が、行なっているとしたら、背筋が寒くなる。


今から遡ること数年前に、韓国のKさん経由で日本へ初めてDJIが輸入された時、弊社では、その取り扱い説明書を翻訳した経緯があり、輸入当初からDJIに携わって来た。

それは、膨大な量の翻訳であったが、その後も、DJIの幾つかのタイプ(製品)に於いて、辞書と首っ引きで日本語マニュアルを苦労して作った(翻訳した)。

その時は、血気盛んな空撮業者数社が、私の翻訳したマニュアルを基に、機体に搭載し、テスト的にその運用を開始したのである。

最初に、そのオリジナルのマニュアルを見た時は(翻訳した時)、説明が大雑把だな~・・と感じた。果たして、万人がこんな説明書で正確に取り付け・調整が可能なのか?・・又、安全に運用する事が可能なのか?・・・と疑問にも思った。

その思いは、現在でも変わりないどころか、色々な事例を見る度に、それは益々、日増しに強くなっている。

現に今回の様に、超プロフェッショナルで、沢山の経験を積んでいるY先輩をもってしても、難解で説明不足の取扱説明書だけでは、正確に機材を搭載できる訳もありませんね。
(※因みに、その説明書には重大な瑕疵が有りましたが、私が訳したものではありません。念の為。)
※因みに、現在の取扱説明書は、どんどん簡略化されていて、より難解になっている箇所もあります。

そんな訳で今日現在、日本でのDJI製品の販売に於ける形態・手法は、基本的に多くの運用上の危険をはらんでいる様に思うのです。

そうは言っても、弊社も現在では、日本のDJI正規代理店の傘下で、その販売業務及びサポートの一端をになっています。

この様な現実を踏まえて、何か他に、それをカバーする手立てを、真剣になって講じなければならない・・・・
その必要性を感じるのは、私だけでしょうか?

では・・どうするのが良いのか・・・?ここで少し、その事に付いて考察をしてみたいと思います。

まず、基本的には、メーカー(DJI自体)が、そのディストリビューターに対し、技術講習会を開催する義務があると考えます。・・それ程デリケートで、ハイレベルな特殊な装置なのである。
 
 又、その技術講習会を受講し・試験に合格した、ある程度の専門知識を修得したディストリビューターのみが販売出来る様にする事が必要だと考えます。

それから、今回の様な事例もある事から、基本的には、取り扱いや販売を許可された有資格者が、コンプリートで機体を制作・販売する事が必要ではないか・・?と言うことです。(納入後のアフターサービスも含む)

それから、安全に運用する為に、日本のDJI正規代理店主催で、購入したユーザーに対しても、定期的に講習会を義務付けて実施すべきでは無いだろうか?

唯の模型ではないのである。模型のノリでの安易な販売や、取り扱いには注意が必要では無いだろうか?