ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

2021.1.14 読響 ラフマニノフ・ピアノ第3番/藤田真央ファンにはさまれて

2021-02-13 | ピアノ
先月、1月14日の話ですが、読響の名曲シリーズコンサートでサントリーホールへ行ってきました。再び緊急事態宣言が出て数日後だったので、何となく気が引けましたが、新年初のコンサートでしたし、このコロナ禍にドイツからわざわざ来日した読響常任指揮者セヴァスティアン・ヴァイグレさんが指揮をするというのに、行かないわけにはいきません。昨年の第九を指揮するために、14日間の隔離措置期間を考慮して11月下旬には来日し、恐らく日本で年越しをしたのではないかと思います。(さすがに第九は、感染を避けるため行きませんでしたが……)

新年初のプログラムは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、ピアノは藤田真央くん(以下、真央くん)、1998年生まれの22歳。2016年浜松ピアノ国際コンクール第1位、2019年チャイコフスキー国際コンクールで第2位受賞。名前は知っていたのですが、演奏を聴くのは初めてでしたので、楽しみにしていました。後で調べたら、「蜜蜂と遠雷」の吹き替え演奏をやっているのですね。

サントリーホールに入り、客席を見渡すと、緊急事態宣言発令中にも拘わらず、観客数がいつもより多いかな、と思いました。しかも女性が目立つ。私の席はオケ全体が見える席。その付近はオケの関係者用席のはずなので、隣に人が座ることはめったにないのですが、この日は、若者(25~6か)のグループに挟まれました。読響がGoToでチケットを割引販売したので、そこも一般販売されたようなのです。指揮者が登場する直前までマスク越しにおしゃべりをしているのが気になり、話を聞いていると真央くん目当てで来た様子。心の中で、飛沫が飛ぶからしゃべるのを止めて、と不安になりながらじっと耐えていました。

さて、指揮者と共に真央くんが登場。オケ構成はほぼフルです。ヴァイグレさんは長身で体格が良いので、光沢のある黒のスーツがビシッと決まっています。真央くん、黒のゆったりしたシャツで、やや猫背気味にピアノへ向かいます。
ピアノに向かった時の表情は、にこやかな笑顔。
ラフマニノフの第3番、オケの誘うような旋律が始まります。4小節目の終わりにピアノが入ります。表情が楽しそうです。出だしのメロディーは柔らかく、まるでオケに挨拶をしているようにも聞こえます
ラフマニノフのピアノ第3番は難しいので、真剣な表情で向かうピアニストを見てきたのですが、楽しそうに弾き始めるピアニストは記憶にないですね。
指揮者はピアノを背にして、ピアニストの方を全く見ていませんでしたが、真央くんの方は、指揮を見るのは当然ですが、特にオケの演奏を聴いている様子が気になりました。チェロがソロを弾けばそちらを向き、木管や金管がソロを弾けばそちらを向き、という感じです。
曲が進むにつれて、体を回すように揺らしたり、うっとりした顔をしたり、オケのメロディーと自分のピアノのメロディーに陶酔していく様子が見て取れました。
前に、若い演奏家は超絶技巧を見せたがる傾向がある、と書いたことがありますが、彼の場合は、難所を華やかに駆け抜けるタイプではなく、上手く表現できませんが、彼独特の空間の中に丁寧に音を散りばめていき、音の調和やリズムの美しさを楽しんでいる、という印象です。
若いですが、独自の世界をすでに持っていて、魅力的なピアニストだと思います。

素晴らしい演奏の後は、並びの席の真央ファングループの、立ち上がらんばかりの拍手に圧倒されて、おばさんは縮こまっておりました。マスク着用、声出し禁止となっていましたが、そうでなければ、立ち上がって手を振り、キャーとかブラボーとか叫びだしそうな勢いでした……
真央くんの素晴らしい演奏の余韻を胸に残しておきたくて、後半のチャイコフスキー交響曲第4番は聴かず、帰宅の途に。

この曲は、チャイコフスキー国際コンクールの最終選考でも弾いていて、その演奏動画がYouTubeにアップされているので添付します。読響コンサートのでの演奏とは違って、コンクールなので表情は少し硬い感じがします。
スマホで見ると、広告が頻繁に出てきて鬱陶しいので、PCで視聴することをお勧めします。(PCでも途中で広告が入ることがあります)約40分。
コメント (2)
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