久しぶりの読響記事投稿です。
9/29に読響の定期演奏会へ行ってきました。
最近は、といっても6月以来コンサートへは行っていなかったのですが、前半だけ聴いて帰ることにしています。
サントリーホールからの帰りの電車の混雑を避けるのが理由ですが、そのタイミングで出れば、ソリストの素晴らしい演奏の感動を記憶に残したまま帰ることができる、と自分に言い聞かせて、泣く泣く帰るるわけです。
プログラムは、
指 揮: 井上道義
チェロ: 宮田 大
・ゴリホフ:チェロ協奏曲「アズール」
・ストラヴィンスキー:管楽器のため交響曲
・ショスタコーヴィチ:交響曲第9番
ストラヴィンスキー以外は、指揮をするはずだったイスラエルの作曲家(イラン・ヴォルコフ氏)が決めたものですが、選曲が独創的だと思いました。これを引き継いだ井上氏がストラヴィンスキーの曲を加え、ゴリホフとロシア音楽とを比較させようとしたのでしょうか、意図がわかりません。
オスバルド・ゴリホフ。初めて聞いた名前でしたが、1960年アルゼンチン生まれの現役の作曲家です。ウクライナとルーマニアのユダヤ系移民の子孫で、勉学はイスラエル、作曲修行をアメリカで始めそのまま移住。一体国籍はどこなのでしょうかね…
ゴリホフは2014年に日生劇場で開催されたオペラ「アイナダマール」の作曲者だということを知りました。
「アイナダマール」とはアラビア語で「涙の泉」という意味で、スペインの詩人・劇作家ガルシア・ロルカが、スペイン内戦中にグラナダで、フランコ側の兵士に銃殺され38歳の若さで亡くなったその場所を表し、オペラはそのロルカの生涯を元に書かれたものです。ロルカがフラメンコを愛したことから、オペラ歌手だけでなくフラメンコのアーティストも出演し、とても豪華なオペラだったようです。
さて、今回のゴリホフのチェロ協奏曲「アズール」、どう説明したものか… 様々な楽器、様々な国の民族音楽の要素が盛り込まれていて、複雑なのです。
この曲は2006年にヨー・ヨー・マのために作曲されたもので、チリの詩人パブロ・ネルーダの作品「マチュピチュの高み」等から着想を得て書かれ、「アズール(Azúr)」はスペイン語で「青」という意味(本当の発音はアスール)ですが、作曲者によれば、修行時代を過ごしたタングルウッド(マサチューセッツ州)の夕暮れ時の青い空や、宇宙から見た青い地球をイメージして作曲したそうです。
独特だったのはオケの構成と配置でした。
指揮者の両脇にチェロとアコーディオン。すぐ前にはアフリカか南米かよくわからない打楽器群のパーカショニストが2人。
それを囲むように、左手の前列にビオラ、後ろに第1バイオリンとチェロ、最後部に木管、金管、正面の奥にコントラバスが並ぶ、右手の前列は第2バイオリン群、最後部、客席手前からホルン、チェレスタ、ハープ、マリンバ。
オーケストラの構成を知っている人なら、かなり変わっていることがわかると思います。
曲の構成は4楽章に分かれていますが、切れ目なく演奏が続くので、どこから何楽章なのかわかりにくいです。チェロの演奏で始まる第1楽章は、まるで胡弓の演奏を聴いているように穏やかに流れていきます。が、後半、第3楽章あたり、チェロとアコーディオン、打楽器、の4人だけの長く激しいセッションが展開されます。中東系かアフリカ系のような打楽器のリズムに指揮者の井上さんは踊りだし、終いには指揮台の上に座り込んで、4人におまかせモード。
一方、落ち着きを取り戻した第4楽章ですが、最後は、人の叫び声のような音、空から何かがどんどん近づいてくる音が続きますが、次第に遠ざかって消えていき、曲が終わります。と同時に、照明が全て消され真っ暗に…
チェリストの宮田大さんのエネルギッシュな演奏力に感動です。宮田さんにとっても、新しい音楽への挑戦だったようです。
こちら、ヨー・ヨー・マがシカゴ交響楽団と演奏した時のライブ録音を見つけたので、興味がある方は聴いてみてください。指揮はドゥダメル。約25分。
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