ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

10/10 牛田智大 ショパンの理想を描く2次予選

2021-10-10 | ピアノ
ショパン国際ピアノコンクールの2次予選2日目、10月10日の朝の部(日本時間の10日19時35分頃) 、牛田智大さんの演奏が行われました。
牛田さんはにこやかに登場し、コンクール演奏に臨むと思えないほど落ち着いて見えます。
今日の演奏は、心に訴えてくるような情緒豊かな演奏で、本当に素晴らしかったです。特に「舟歌」は、情景が目に浮かぶように素敵でした。

曲目は
1.  ワルツ「大円舞曲」変イ長調 Op.42
2.  バラード4番 ヘ短調 Op.52
3.舟歌 変へ長調 Op.60
4.ポロネーズ「英雄」変イ長調 Op.53

最初のプログラムでは、1と2は逆でしたが、牛田さんの意図に従って直前に変更されたようです。
前回もそうでしたが、プログラム構成の意図を演奏当日にTwitterで語ってくれています。(以下)この意図や背景を知らなくても、伝わってくるような今日の演奏でした。

ショパンのバラード4曲の作曲の背景に、ポーランドの詩人アダム・ミツキェヴィチの物語詩が背景にあることに触れて、

『4番のバラードと関連を持つといわれる、「3人のブドゥリス*」は、他の3曲とは大きく異なり、人生においてもっとも重要なのは財や名誉を得ることではなく、愛をもって生きることだ、という哲学であり、ポーランドの国民性にも通じるものがある。ショパンが主な仕事場であった華やかな社交界に対して感じていた違和感がこの作品に引き寄せられるきっかけになったのかもしれません。彼がポーランドで友人や家族と共に過ごした青春時代は祖国を離れた後も記憶として残り、いつしかそれらはショパンの人生に対する「理想」と結びついていきました。
 今日のプログラムは、ショパンの「理想」を描きます。人生、音楽、そして祖国に対して彼が描いていた理想…それらの多くは彼にとって実現しえないものであり、同時に戻ることのできない祖国への憧れにも似たものでした。
ワルツ:ウィーンで大衆音楽として捉えられ始めたワルツに対する批判を、素朴で偉大な伝統が失われつつあったポーランドに重ね合わせて書かれたOp.42、バラード:愛と素朴さ、ポーランド民族を讃える意味で作曲されたOp.52、舟歌:温かく穏やかな人生への憧れが込められたOp.60、そして、ポロネーズ:祖国への誇りを描いたOp.53。』

考えが深いですね…

*「三人のブドゥリス」とは、リトアニアを舞台にした物語で、三人の兄弟が、父親の言いつけで、財宝を探しに遠い国へ旅に出たが、何年過ぎても帰らず、父親は三人が死んでしまったと思った。然し、ある吹雪の夜に、三人は長旅で得た財宝として、それぞれ花嫁を伴って帰ってきたという話。


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2 コメント

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Unknown (tkgmzt2902)
2021-10-11 00:55:21
解説を読んでから、もう一度聞き直します。こういう風に聞くのですね。
勉強になりました。
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Unknown (tocalamusica)
2021-10-11 06:12:28
tkgmzt2902さん、1次の時もそうでしたが、解説があると、聴く側の曲へのイメージが変わりますね。牛田さんはこの解説を本番の1時間位前に書いているのですよ。
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