ヴァイオリン ~ 雑音ラプソディ ~

50代後半になって突然始めたヴァイオリン。
ヴァイオリンやピアノなど
音楽に関することを綴っていきます。

11/29 読響定期演奏会 - チェコの指揮者ネトピルとの初共演 (No.1)

2019-12-01 | クラシック音楽
11月29日、読売交響楽団の第593回定期演奏会でサントリーホールへ行ってきました。
指揮は、チェコ生まれの44歳、トマーシュ・ネトピル(Tomás Netopil)。
ストックホルム王立音楽院でヨルマ・パヌラに指揮を学び、2002年の第1回ゲオルク・ショルティ国際指揮コンクールで優勝し、その後プラハ国民劇場、エステート劇場の音楽監督等を歴任し、現在は、ドイツの名門エッセン歌劇場及びエッセンフィルの音楽総監督と、125年の歴史のあるチェコ・フィルの首席客演指揮者を務めていて、今回の来日では、読響とは初共演だということです。
長身、大きな体で勢いのあるタクト、曲の難しさから育まれたオケとの一体感を感じる素晴らしい演奏でした。


ソリストとして、カナダのチェロ奏者、ジャン=ギアン・ケラス(Jean-Guihen Queyras)を再び迎え、ハンガリーの作曲家、リゲティのチェロ曲が2曲披露されました。
東欧の作曲家の曲は、自分から滅多に聴くことはありませんが、今回のコンサートを振り返ると、東欧音楽の奥深さを知る良い機会だった思います。
リゲティという作曲家の名前すら知りませんでしたから。(もしかしたら、以前にリゲティの他の曲を聴いて、それを覚えてないだけかもしれませんが。)

このリゲティの選曲と順番については、チェリスト、ケラスのアイデアによるものだそうで、いつか2曲を続けて演奏したかった、というケラスの夢が実現した瞬間に立ち会えたことは感慨深いものがあります。理由は本人にしかわかりませんが。

それにしても、今回の定期演奏会は、会員も結構いるはずなのですが、曲目に馴染みがないからか、都合のつかない方が大勢いらしたのか、かなりの空席がありました。 なかなか聴く機会はないであろう曲なのに、残念なことです。

曲目: 
1)モーツァルト: 歌劇「皇帝ティートの慈悲」序曲
2)リゲティ: 無伴奏チェロ・ソナタ
3)リゲティ: チェロ協奏曲
4)スーク:  アスラエル交響曲は短調Op.27
    
リゲティはハンガリー出身、スークはチェコ出身の作曲家です。後日ブログしますが、スークはヨゼフ・スーク、同姓同名で8年程前に亡くなられた有名なチェコのヴァイオリニスト、ヨーゼフ・スークの祖父です。
私の好きなヴァイオリニストの一人です。

東欧音楽の歴史背景をよく知らない私には、この曲目を見て、なぜ最初の曲がモーツァルトなのか、プログラムの解説を読むまで理解できませんでした。
モーツァルトの生きた時代、18世紀の後半ですが、チェコの首都プラハのある一帯はボヘミア王国といい、神聖ローマ帝国の一部でした。(後にハプスブルク家のオーストリア領土となる)。ボヘミア王国の皇帝レオポルト2世が王に即位する戴冠式(1791年)でオペラを上演するために、作曲をモーツァルトに依頼し、戴冠式当日はモーツァルトの指揮でオペラが初演されたというその曲であり、その初演場所がプラハであった。そういうことで、モーツァルトとチェコが結び付くわけです。

チェコ出身の指揮者ネトピルが、この曲を最初の曲に選んだ意図に、果たして何人の観客が気が付いたでしょうか。
激動の時代を生きたチェコの音楽家の深い歴史や思いを土台に、現代のチェコ音楽界を支える若手指揮者として活躍が期待されます。

今回は、作曲家、曲、演奏家、それぞれ内容が濃すぎて、一度に全部書けません。
近いうちに、ケラスのリゲティ演奏やチェコの音楽の歴史、スーク演奏等についてブログします。😊





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