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今日の筆洗

2021年11月01日 | Weblog
「公然の秘密」「やさしい悪魔」「小さな巨人」「残酷な助言」「サウンド・オブ・サイレンス(静寂という音)」。大切な総選挙の翌日のコラムに何を書いているのかと叱られそうだが、並べた言葉には共通点がある▼いずれも撞着(どうちゃく)語法という修辞法の一種で普通なら撞着(矛盾)する二つの言葉を合わせて表現する方法である。本来やさしくない悪魔をやさしいと表現すれば読み手の印象にも残るし、複雑な状況も説明しやすいか▼「胸張れない政権維持」「ビタースイート」。今回の総選挙。こんな撞着語法を自民党に使いたくなる▼なるほど単独で過半数確保したのだから自民党としては「勝った」と言いたかろう。が、選挙前議席からは後退し、大物議員の苦戦も目立つ。およそ自慢できる結果ではなく、ビター(苦味)とスイート(甘さ)の比率でいえば、苦味七・甘さ三、あるいは八・二である▼有権者の中に撞着語法があったのだろう。コロナ禍で政権交代という大きな変化には慎重。けれども自民党のこれまでのやり方も許せない。求めたのは「謙虚な自民党」「弱者にやさしい自民党」という切実な撞着語法だったにちがいない▼撞着語法の皮肉な例として「誠実な政治家」というのがあったが、自民党は選挙結果を誠実に受け止め、変わらなければなるまい。「変わる自民党」。これも撞着語法かもしれないが。