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今日の筆洗

2021年11月17日 | Weblog

「バケツ戦争」とは一三二五年、かつてのイタリアの都市国家、モデナとボローニャの間に起きた戦争で約二千人が亡くなったと伝わる。「バケツ戦争」とは奇妙な名だが、モデナの兵士がボローニャの井戸からバケツを盗んだことが原因となり、戦争が始まったためである▼戦争とはほんのささいな理由でも始まることをそのバケツが教えてくれる。無論、それ以前からお互いへの不信や怒りがあったのだろう。それが積み重なった結果、取るに足らぬバケツでさえも戦争を引き起こす着火剤となる▼台湾問題などを巡って、対立を深める米中両国が昨日開いた首脳会談。米国としては偶発的な衝突を招かぬための「ガードレール」を置くのが目的という▼具体的な会談の成果は見えてこない。これを境に関係改善に一気に向かうとも思えぬが、両国の険悪な空気がこの会談によって少しでも和らぐことを期待したい▼バイデン大統領は会談の冒頭「米中首脳には紛争に向かわぬようにする責務がある」と述べた。その通りで核を保有する大国同士が万が一にも衝突すれば世界を大きく揺さぶることになる▼首脳会談を定期的に開催することだ。積み重ねるべきは相互不信ではなく、対話と理解である。たとえオンラインでもお互いに顔を合わせ、言葉を交わし続けていれば盗んだバケツが戦争を引き起こすようなことにはなるまい。